【追悼】2023 (76/141)

ナチス・ドイツが第2次世界大戦中にポーランドに建設したアウシュビッツ強制収容所から奇跡的に生還し、後に国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)判事となったトーマス・バーゲンソール氏が5月29日、米国で死去した。89歳だった。 1934年、迫害を逃れるためドイツからチェコスロバキアのルボフニャに移住したユダヤ系家庭に生まれた。39年、家族と共にポーランドに渡ったが、ナチスに見つかり、ゲットー(ユダヤ人隔離居住区)に送られた。44年にアウシュビッツに強制連行され、45年、ソ連軍進軍に伴い移送されたドイツ・ザクセンハウゼン収容所で解放を迎えた。 戦後は米国に渡り、大学で法律を学んだ。2000〜10年にICJ判事を務めた。当時の同僚には皇后さまの実父、小和田恒氏(90)がいた。写真は、国際司法裁判事時代のトーマス・バーゲンソール氏(中央)。右から2人目は小和田氏=04年2月 【EPA時事】