【追悼】2023 (127/141)

軍事クーデターで権力を握り、2001年の米同時テロ以降、米国の対テロ戦争を支援したパキスタンのペルベズ・ムシャラフ元大統領が2月5日、病気のため、入院していたアラブ首長国連邦(UAE)のドバイの病院で死去した。79歳だった。パキスタン軍が発表した。報道によると、難病の「アミロイドーシス」を患い闘病していた。 印パ分離前の1943年8月、英領インドのデリーで生まれ、パキスタン独立後に同国へ移住。64年に陸軍に入隊すると頭角を現した。 クーデターで権力掌握後の01年、選挙を経ず大統領に就任したが、08年総選挙で反対派が躍進した議会からの弾劾圧力に屈し辞任。その後、国家反逆罪などで起訴された。16年に持病治療のため出国が認められ、ドバイで事実上の亡命生活を送っていた。 01年9月の米同時テロ後には、それまで良好な関係にあったアフガニスタンのタリバン政権が米軍主導の軍事作戦で崩壊したことを受け、米軍の対テロ戦争に協力。見返りに、欧米や国際通貨基金(IMF)から多額の経済援助を取り付けた。 大統領辞任後は国外へ移住。13年に政界復帰を期してパキスタンに戻ったが、直後に07年のブット元首相暗殺事件に関与した疑いなどで逮捕された。 また、かつて自らが首相の座から追い落とした政敵ナワズ・シャリフ氏が首相に返り咲き、国家反逆罪で起訴された際の法廷では「陸軍参謀長を9年務め、軍で45年間、国のために尽くした。これが反逆罪に当たるのか」と訴えた。19年に同罪で死刑判決を受けたが、その後判決は撤回された。(ニューデリー時事)  写真は1999年11月にイスラマバードで撮影 【AFP時事】