【追悼】2023 (104/141)

イトーヨーカ堂の創業者で、セブン―イレブン・ジャパンを中核とする巨大流通グループの礎を築いたセブン&アイ・ホールディングス名誉会長の伊藤雅俊(いとう・まさとし)氏が3月10日、老衰のため死去した。98歳だった。 伊藤氏は1924年東京都生まれ。横浜市立横浜商業専門学校(現横浜市立大学)を卒業し、44年に三菱鉱業(現三菱マテリアル)に入社。終戦後に兵役から戻り、東京都足立区千住で母と兄が始めた2坪の洋品店「羊華堂」を手伝い始め、58年ヨーカ堂(現イトーヨーカ堂)を設立した。 61年の海外視察を機に、セルフサービスの米国型スーパーマーケットのチェーン展開に踏み切り、日本のスーパー勃興期の一翼を担った。 73年にヨーカ堂の東証1部上場を果たした。同じ年に米社と提携してヨークセブン(現セブン―イレブン・ジャパン)を設立し、社長に就任。後任の鈴木敏文氏(セブン&アイ名誉顧問)主導の下、日本を代表するコンビニチェーンに成長させた。 80年度には三越を抜き、経常利益で小売業日本一を達成。しかし、92年10月、総会屋への利益供与事件の責任を取り、ヨーカ堂の社長を退いた。 社外活動では、スーパーの業界団体である日本チェーンストア協会の会長を務めたほか、若者に勉学の機会を提供するため、「伊藤謝恩育英財団」を設立した。85年藍綬褒章受章。写真は2018年3月撮影 【時事通信社】