【追悼】2021 (88/209)

児童文学のベストセラー「ズッコケ三人組」シリーズで知られる児童文学作家の那須正幹(なす・まさもと)さんが7月22日、肺気腫のため山口県防府市の病院で死去した。79歳だった。広島市出身。 1945年8月6日、広島へ原子爆弾が投下された時、3歳だった那須さんは爆心地から約3キロの自宅で被爆した。その体験を基に「絵で読む広島の原爆」(95年)など反戦や反核、平和をテーマにした作品も多く手掛けた。 島根農科大(現島根大)卒業後、会社勤務を経て文筆活動に入り、78年にハチベエ、ハカセ、モーちゃんの男の子3人組が活躍する物語「ズッコケ三人組」シリーズを刊行した。 同シリーズは2004年の50巻まで続き、累計発行部数は児童文学として戦後最大の2500万部に上るベストセラーとなり、映画やテレビドラマ、アニメ作品にもなった。3人が40歳となった「ズッコケ中年三人組」(05年)、50歳を迎えた「ズッコケ熟年三人組」(15年)で完結した。 05年に「ズッコケ三人組」シリーズで日本児童文学者協会賞特別賞を受賞。07年度から11年度まで同協会会長(定款変更で途中から理事長)を務めた。写真は20年撮影 【時事通信社】