【追悼】2021 (201/209)

昭和史に関する研究で知られた作家の半藤一利(はんどう・かずとし)さんが1月12日、東京都世田谷区の自宅で倒れているのが見つかり、その後死亡が確認された。90歳だった。 東京都生まれ。1945年3月の東京大空襲を自ら体験した。戦後、東京大を経て文芸春秋に入社し、「文芸春秋」63年8月号に戦争当事者による座談会を掲載。さらに取材を加え、65年に単行本「日本のいちばん長い日 運命の八月十五日」として刊行、2度映画化されるなど大きな話題を呼んだ。 同社では週刊文春、文芸春秋編集長や専務取締役を歴任し、95年に退社後は作家へ転身。近代以降の日本の歴史をテーマに執筆を続け、テレビ出演などでも活躍した。98年「ノモンハンの夏」で山本七平賞を受賞。2006年に毎日出版文化賞特別賞を受賞した「昭和史 1926―1945」「昭和史 戦後篇 1945―1989」はベストセラーに。15年には菊池寛賞を受けた。 妻の末利子さんは夏目漱石の長女筆子さんの四女で、半藤さんも漱石に関連する随筆を多く手掛け、93年「漱石先生ぞな、もし」で新田次郎文学賞を受賞した。写真は2015年撮影 【時事通信社】