【追悼】2021 (157/209)

ドラマ「北の国から」や映画「若大将」シリーズのライバル役などで知られた俳優の田中邦衛(たなか・くにえ)さんが3月24日午前11時24分、老衰のため死去した。88歳だった。岐阜県出身。 田中さんは中学校の臨時教員を経て、俳優座養成所に入所。1957年に「純愛物語」で映画デビューした。当初は、あくの強い風貌を生かしてアクション映画を中心に活躍していたが、加山雄三さん主演の「大学の若大将」(61年)に始まる若大将シリーズで、主人公と張り合う「青大将」役をコミカルに演じ、人気者に。 その後も、個性派の脇役として故高倉健さん主演の「網走番外地」シリーズや故菅原文太さん主演の「仁義なき戦い」シリーズをはじめ、「わたしをスキーに連れてって」(87年)、「学校」(93年)など、多彩なジャンルの作品に出演した。 テレビドラマでも、後に映画版も作られた「若者たち」(66年)などで注目を集めた。中でも、倉本聰さんが脚本を執筆した「北の国から」(81〜82年)で、北海道・富良野で子どもたちと暮らす不器用な主人公、黒板五郎を人間味あふれる演技で表現。たくましさと哀感が共存する独特のキャラクターが愛され、その後、2002年まで続編のスペシャルドラマ8本が作られる代表作となった。 99年に紫綬褒章、2006年に旭日小綬章を受章。10年に公開された映画「最後の忠臣蔵」以降は、表舞台から遠ざかっていた。写真は1999年撮影 【時事通信社】