【追悼】2021 (61/209)

市場原理主義に警鐘を鳴らし続け、人間中心の経済社会の実現を訴えた経済評論家の内橋克人(うちはし・かつと)氏が9月1日、急性心筋梗塞のため、神奈川県鎌倉市の病院で死去した。89歳だった。神戸市出身。 1957年、神戸商科大(現兵庫県立大)を卒業後、神戸新聞社に入社。67年に退社し、フリージャーナリストとして執筆、評論活動に入った。戦後日本の高度経済成長を支えた現場の技術者らを描いた「匠の時代」で脚光を浴びた。 競争原理を重視する新自由主義的改革が格差拡大を招いたと批判し、市場に振り回されず人間らしく生きるための経済の在り方を模索した。「原発への警鐘」「共生の大地」「浪費なき成長」など著書多数。テレビやラジオ番組にも数多く出演した。写真は2012年6月撮影 【時事通信社】