【追悼】2021 (153/209)

英王室は4月9日、エリザベス女王(94)の夫フィリップ殿下が同日、ロンドン郊外のウィンザー城内で死去したと発表した。99歳だった。結婚後73年4カ月間にわたり、公私両面で妻を支え続けた。 王室は声明で「女王の愛する夫の死を発表することは深い悲しみだ」と表明。ジョンソン首相も「(殿下は)数え切れない若者たちを鼓舞し、その人生を形づくった。国として、そして王国として謝意を表したい」と述べた。王室によると、殿下は「安らかに息を引き取った」という。 1921年、ギリシャのケルキラ(コルフ)島で、ギリシャのアンドレアス王子とアリス妃の間に生まれた。ビクトリア英女王(在位1837〜1901年)の玄孫に当たる。ギリシャで政変が起き、一家はパリへ脱出。英スコットランドの寄宿学校で学び、海軍兵学校へ。海軍に入隊し、第2次世界大戦に従軍した。 海軍兵学校在籍中の39年、エリザベス王女(当時)のエスコート役を務めたことをきっかけに交際がスタート。長身でハンサムなエスコート役に王女が「一目ぼれ」したとも伝えられる。2人は47年11月に挙式。殿下は結婚に当たり、ギリシャ王子の地位を放棄し、英国に帰化した。 52年2月、エリザベス女王が即位し、以来「君主の夫」として妻に寄り添いながら、世界自然保護基金(WWF)総裁など精力的に公務をこなした。「放言癖」でしばしば世間を騒がせながらも、気さくな人柄で国民に親しまれた。2017年、96歳で公務から引退。今年2月に体調不良で入院し、3月半ばに退院した後、静養していた。 殿下は1975年、エリザベス女王と共に初来日。89年2月には昭和天皇の「大喪の礼」に参列した。上皇ご夫妻とも長い間親交を深め、2012年には上皇ご夫妻が英国を訪れ、エリザベス女王の即位60周年を祝った。写真は2020年7月撮影。 【時事通信社】