【追悼】2021 (43/209)

ひょうひょうとした語り口と卓越した話芸で親しまれた、落語家で人間国宝の柳家小三治(やなぎや・こさんじ、本名郡山剛蔵=こおりやま・たけぞう)さんが10月7日午後8時、心不全のため東京都内の自宅で死去した。81歳だった。東京都出身。 1959年に五代目柳家小さんに入門。69年に異例の17人抜きの抜てきで真打ちに昇進し、十代目小三治を襲名した。「青菜」や「小言念仏」「厩(うまや)火事」などの滑稽ばなしを得意とし、本格的な江戸落語の第一人者としての評価を確立した。2004年に芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。10〜14年には落語協会会長も務めた。 本題の落語の前の「まくら」の面白さも人気で、「まくらの小三治」の異名を取り、まくらだけを集めた著書やCD集も発売された。私生活ではオートバイやスキー、オーディオ、クラシック音楽、俳句など多趣味でも知られた。 長年、持病のリウマチの痛みに耐えながら高座に上がり続け、今年3〜4月に体調不良で入院した後も5月に復帰した。10月2日、東京都府中市で披露した「猫の皿」が最後の高座となった。 05年に紫綬褒章、14年に旭日小綬章を受章し、同じ14年に落語家では3人目となる人間国宝に認定された。文学座の俳優、郡山冬果さんは次女。写真は2014年撮影 【時事通信社】