【追悼】2021 (129/209)

「眠狂四郎」「古畑任三郎」などテレビドラマの存在感ある演技で親しまれた俳優の田村正和(たむら・まさかず)さんが4月3日に心不全のため東京都内の病院で死去したことが5月18日、分かった。77歳だった。京都市出身。 時代劇映画のスター、阪東妻三郎さんの三男として生まれ、高校在学中の1961年に木下恵介監督の映画「永遠の人」でデビュー。「太閤記」「源義経」「新・平家物語」などのNHK大河ドラマや、数多くの映画に出演した。 特に、72〜73年のテレビ時代劇「眠狂四郎」での陰のあるニヒルな演技は人気を呼び、その後も断続的にスペシャル版の続編が作られた。 80年代には、子どもたちに振り回される小学校教師役の「うちの子にかぎって…」をはじめ、「子供が見てるでしょ!」「パパはニュースキャスター」などのコメディードラマに出演。従来のダンディーなイメージを覆すコミカルな演技で新境地を開いた。 94年スタートの刑事ドラマ「古畑任三郎」シリーズでは、劇中で突然視聴者に話し掛けるなどけれん味あふれるしぐさや言い回しが大きな話題に。 2009年のドラマ「そうか、もう君はいないのか」での妻に先立たれた男性の孤独を表現した演技が、モナコ公国のモンテカルロ・テレビ祭で高く評価され、テレビフィルム部門の最優秀男優賞を受賞した。 私生活に関してはオープンにしない主義を貫いたが、06年に亡くなった長兄の高廣さん、弟の亮さんと共に俳優の「田村三兄弟」として知られ、ビール会社やクレジットカード会社のテレビCMでも親しまれた。写真は14年1月撮影 【時事通信社】