ガザ「緩衝地帯」拡大=イスラエル軍、戦争犯罪指摘も―住民域外退去への布石か
【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザを侵攻するイスラエル軍が、地元住民の立ち入りを禁じる「緩衝地帯」を拡大させている。イスラエルとの境界付近からイスラム組織ハマスを排除して越境攻撃を防ぐのが狙いだが、大規模な建物破壊を伴うため戦争犯罪に当たるとの指摘がある。また、居住可能な地域を狭めることが、住民をガザ域外への退去に追い込む布石となる可能性もある。
イスラエルは2023年10月のガザでの軍事作戦開始以降、「テロ関連インフラ」と認定した建物を次々に取り壊し、緩衝地帯を徐々に広げてきた。いったん成立した停戦が今年3月に事実上崩壊して以降、その面積がほぼ倍増したと報じられている。
さらに、イスラエル軍は12日、エジプト境界に位置するガザ最南部ラファの一帯を完全に包囲したと発表。イスラエル紙ハーレツによれば、軍が設置した「モラグ回廊」と「フィラデルフィ回廊」に挟まれたこの一帯を今後、緩衝地帯に組み込む計画だ。面積は約75平方キロ。23年の衝突前には27万人以上が暮らしていたというが、住居を含む全ての建造物の破壊も検討しているとされる。
英ブリストル大のローレンス・ヒルコーソーン教授(国際法)は米CNNテレビに、大規模な破壊には「軍事的必要性を示す明確な根拠がない」と強調。その上で「無差別な破壊」なら戦争犯罪に当たると述べた。
また、昨年8月にガザ北部で従軍した兵士は、退役兵が結成した人権団体「沈黙を破る」に対し、緩衝地帯では「(侵入した)成人の男は射殺せよ」との指示があったと証言している。どこから緩衝地帯なのか住民が認識できる目印は「ない」という。
国連人道問題調整事務所(OCHA)は今月4日、緩衝地帯など住民の立ち入り禁止地域がガザ全体(約365平方キロ)の65%に上ると発表。米ニュースサイト「アクシオス」は、住民が自発的にガザから退去するように仕向けるため、イスラエルが全体の4分の1を占領する計画だとも報じている。
住民の域外退去は2月、トランプ米大統領が独自の復興構想を示す中で言及。国連や欧州、アラブ各国は国際法違反だと一斉に反発したが、イスラエルのネタニヤフ首相はガザ住民は紛争地域に「閉じ込められている」と主張。「(退去という)選択肢を与えることの何が悪い」と正当化している。
[時事通信社]
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