【追悼】2020 (57/186)

日本舞踊の最大流派、花柳流の四世宗家家元で俳優や演出家としても活躍した花柳寿応(はなやぎ・じゅおう、本名寛=ひろし)さんが、9月26日午前6時52分、肺腺がんのため東京都内の病院で死去した。89歳だった。喪主は孫で五世宗家家元の花柳寿輔(はなやぎ・じゅすけ、本名花柳創右=はなやぎ・そうすけ)さん。 花柳流の分家家元の家に生まれ、伯父に当たる二世宗家家元の二代目花柳寿輔に師事した。早稲田大大学院在学中に舞踊家としてデビュー。1967年に五代目花柳芳次郎を襲名した。 俳優としてテレビドラマや演出家の武智鉄二の実験劇、長谷川一夫率いる東宝歌舞伎などに出演したほか、振付家、演出家としても活躍。宝塚歌劇の日本物作品の振り付けを数多く手掛け、100周年記念式典の祝舞の振り付けも担当した。 2007年に三世宗家家元が亡くなると、四代目花柳寿輔を襲名して宗家家元を継承。その正当性をめぐるお家騒動は裁判にまで発展したが、16年に孫に五世宗家家元を継承させ、自身は二代目寿応を襲名した。06年に旭日(きょくじつ)小綬章を受章、11年には日本芸術院会員に選ばれた。写真は07年撮影 【時事通信社】