【追悼】2020 (119/186)

阿彦 哲郎さん(あひこ・てつろう=中央アジア・カザフスタンに残留した日本人元抑留者)6月18日未明、カザフ中部カラガンダ州の自宅で死去、89歳。長女ナタリヤさんが明らかにした。ここ数日間、飲食できず衰弱していたという。 1930年樺太(サハリン)生まれ。45年のソ連の対日参戦後も樺太にとどめ置かれ、48年に逮捕。最終的にカラガンダ州の収容所に連行された。独裁者スターリンの死去翌年の54年に解放されたが、混乱の中で日本に帰れず、現地で結婚し、家族を持った。 半生を描いた演劇「アクタス村の阿彦」が2016年、カザフで国立劇団によって初演され、17年に東京でも披露された。この日本公演に合わせた来日が最後となり、取材に「戦争が私のような(境遇の)人間をつくることを、子供たちは知らない。戦争は駄目なものだと日本人に伝えたい」と訴えていた。写真は2017年12月撮影 【時事通信社】