【追悼】2020 (102/186)

映画「喜劇 女は男のふるさとヨ」や「時代屋の女房」などで庶民の怒りを泥臭く描いた映画監督の森崎東(もりさき・あずま)さんが7月16日午後10時15分、脳梗塞のため神奈川県茅ケ崎市の病院で死去した。92歳だった。長崎県出身。喪主は妻芙美子(ふみこ)さん。 長崎県島原市に生まれ、その後、福岡県に移り労働者の町で育つ。京都大学卒業後、56年松竹入り。大曽根辰保監督や野村芳太郎監督の下で学び、山田洋次さんと共に「男はつらいよ」第1作の脚本を執筆。69年の監督デビュー作「喜劇 女は度胸」では兄弟の恋人取り違え事件という喜劇ドラマを通じ、庶民の悲しみも描きだした。 その後、「男はつらいよ フーテンの寅」や「喜劇 女は男のふるさとヨ」など人気作を手掛けた。75年にフリーとなり、83年には夏目雅子主演の「時代屋の女房」がヒット。85年の「生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言」でも海外から日本に出稼ぎに来る女性らの姿を描き、常に庶民への視線を持ち続けた。 認知症の母との日常を描いた2013年の「ペコロスの母に会いに行く」が9年ぶりの新作となったが、これが遺作となった。 【時事通信社】