【追悼】2020 (185/186)

中東オマーンの国営メディアによると、カブース・ビン・サイド国王が1月10日に死去した。79歳だった。近年は大腸がんを患っていたとされ、欧州などでたびたび治療を受けていた。 1940年、南部サラーラ生まれ。皇太子だった70年、父親のサイド国王を宮廷クーデターで追放して即位。英国の支援を受けたとされる。 即位後はそれまでの鎖国政策を転換し、原油関連収入などを基盤とした経済発展を志向した。首相や国防・外務・財務相、軍最高司令官も兼務して絶大な権力を掌握。国内の安定に腐心し、中東の民主化運動「アラブの春」の中でも混乱が起きなかった。 非同盟中立を掲げた全方位外交を展開。米国やイランと良好な関係を維持し、双方の仲介役を担った。また、国交のないイスラエルのネタニヤフ首相とも会談するなど、中東和平推進に尽力した。在位は半世紀にわたり、国家元首としては世界屈指の長さだった。写真は11年撮影 【EPA時事】