【追悼】2022 (72/150)

斬新な服作りで国際的に高く評価されたファッションデザイナーで、文化勲章受章者の三宅一生(みやけ・いっせい、本名かずなる)さんが8月5日、肝細胞がんのため東京都内の病院で死去した。84歳だった。 広島市出身。小学生の頃から絵が好きで多摩美術大に進学。1965年に渡仏し、パリのオートクチュール(高級注文服)の学校で学ぶ。68年の五月革命で学生が議論し合う姿に刺激を受け、一般の人に身近な服作りを目指し、ニューヨークにも渡った。 70年、東京に三宅デザイン事務所を設立。3年後、パリのプレタポルテコレクションに進出した。「一枚の布」という考え方を原点に、新潟、岐阜、岡山など各地の繊維産地や工場を巡り、職人を訪ねて糸、染め、織りの伝統の技を研究。刺し子や丹前など庶民に継承されてきた衣服や手仕事を新しい技術と融合させ、独創的な服を生み出した。 80年代にはプラスチック、籐(とう)、紙など布以外の素材を使った服作りに挑戦。大きめに縫い上げたものにひだ加工を施す手法にも取り組み、93年に伸縮性のある「プリーツプリーズ」を発表。着る人の体形を選ばず、軽くて機能性にも優れ世界中でヒットした。写真は2016年撮影 【時事通信社】