【追悼】2022 (29/150)

戦後日本の国際経済学や近代経済学の発展に大きく貢献し、教え子から白川方明前日銀総裁らを輩出した小宮隆太郎(こみや・りゅうたろう)東京大名誉教授が10月31日、老衰のため死去した。93歳。京都府出身。 東大経済学部を卒業し、研究者の道に進んだ。理論に基づいた経済政策を重視し、既存の経済理論や通説を批判的に検証してきた。多くの経済論争を巻き起こしたことから「通念の破壊者」とも呼ばれた。 中曽根政権下の1986年にまとめられ、内需拡大や市場開放を提唱した「前川リポート」について、国際収支の理論上、日本の経常黒字は問題ではないとして、当時の日米貿易摩擦を念頭に黒字削減を促したリポートを批判した。80年代後半からのバブル景気を巡っては、日銀の金融引き締めの遅れが一因だと指摘した。 東大、青山学院大教授を歴任し、米スタンフォード大でも客員教授を務めた。 2002年に文化勲章を受章。 教え子には白川氏のほか、前日銀副総裁の岩田規久男、中曽宏両氏らがいる。写真は2002年撮影 【時事通信社】