【追悼】2022 (105/150)

ノーマン・ミネタ元米運輸長官が5月3日、心不全のため、メリーランド州の自宅で死去した。90歳だった。関係者が明らかにした。第2次大戦中に日系人強制収容を体験。市長や下院議員などを歴任し、クリントン政権で日系人として初めて米国の閣僚に起用された。 1931年11月12日、カリフォルニア州サンノゼ生まれ。大戦中の約3年間、ワイオミング州の日系人収容所での暮らしを強いられた。大学卒業後、陸軍勤務を経て67年にサンノゼ市議に当選。71年から4年間、同市長を務めた。 75〜95年の下院議員時代には、戦時中に強制収容された日系人の名誉回復に尽力。研究と啓蒙(けいもう)を重ね、88年にレーガン大統領が「市民の自由法」に署名し、米政府による謝罪と補償に結びついた。 民主党のクリントン政権末期に商務長官を務めたミネタ氏は、共和党のブッシュ(子)政権で運輸長官に就任。2001年9月の米同時テロ発生直後、米領空内の約4600機の民間航空機に即時着陸を命じた。一方、イスラム教徒に対する差別的な政策には断固反対した。退任後の06年12月、米国で文民最高位の「大統領自由勲章」を受章した。写真は15年撮影 【時事通信社】