歌舞伎脇役の人間国宝で、女形を中心に活躍した沢村田之助(さわむら・たのすけ、本名山中宗雄=やまなか・むねお)さんが6月23日午後9時46分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。89歳だった。東京都出身。 五代目沢村田之助の長男で、1941年に四代目沢村由次郎を名乗り、初舞台を踏んだ。64年「神霊矢口渡」のお舟などで六代目田之助を襲名。名女形の七代目尾上梅幸や六代目中村歌右衛門の薫陶を受け、子役時代には十五代目市村羽左衛門、六代目尾上菊五郎ら往年の名優の舞台に出演した経験を持つ貴重な存在だった。 「魚屋宗五郎」のおはまなど市井の女房役や、「伽羅先代萩」の栄御前のような時代物の位の高い女性らを幅広く演じ、舞台を支えた。2002年には人間国宝に認定。14年5月に東京・歌舞伎座で「矢の根」の曽我十郎を演じたのが最後となった。 後進の育成にも尽力し、長年、国立劇場歌舞伎俳優研修の講師を務めた。97年紫綬褒章、13年旭日小綬章。相撲に造詣が深く、03〜13年に日本相撲協会の横綱審議委員会委員も務めた。写真は2013年4月撮影 【時事通信社】
2022.12.31
人物・歴史
【追悼】2022 (89/150)
歌舞伎脇役の人間国宝で、女形を中心に活躍した沢村田之助(さわむら・たのすけ、本名山中宗雄=やまなか・むねお)さんが6月23日午後9時46分、肺炎のため東京都内の病院で死去した。89歳だった。東京都出身。 五代目沢村田之助の長男で、1941年に四代目沢村由次郎を名乗り、初舞台を踏んだ。64年「神霊矢口渡」のお舟などで六代目田之助を襲名。名女形の七代目尾上梅幸や六代目中村歌右衛門の薫陶を受け、子役時代には十五代目市村羽左衛門、六代目尾上菊五郎ら往年の名優の舞台に出演した経験を持つ貴重な存在だった。 「魚屋宗五郎」のおはまなど市井の女房役や、「伽羅先代萩」の栄御前のような時代物の位の高い女性らを幅広く演じ、舞台を支えた。2002年には人間国宝に認定。14年5月に東京・歌舞伎座で「矢の根」の曽我十郎を演じたのが最後となった。 後進の育成にも尽力し、長年、国立劇場歌舞伎俳優研修の講師を務めた。97年紫綬褒章、13年旭日小綬章。相撲に造詣が深く、03〜13年に日本相撲協会の横綱審議委員会委員も務めた。写真は2013年4月撮影 【時事通信社】