フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦、ロシア杯の男子フリーで演技する羽生結弦=2018年11月17日、モスクワ【EPA時事】 右足首はまともに滑れる状態ではなかった。羽生は午前の公式練習で転倒して古傷をぶり返したが、痛み止め薬を飲んでフリーをやり切った。4回転はサルコーとトーループのみで計3本に減らして、ジャンプ構成の難度を落としてでも演じたかった。演技の後半に予定した三つの連続ジャンプでは力尽きたが、強い思いが背中を押した。 フリーの「Origin」は憧れのプルシェンコ(ロシア)が滑ったプログラムへのオマージュ。右足首は昨季痛めた靱帯(じんたい)を再び損傷し、医師からは3週間の安静と告げられた。それでも棄権が脳裏をよぎらなかったのは、「ロシアだったから」。先のことは考えず、こだわりのプログラムをゆかりの地で滑ることを選んだ。 公式練習で4回転ループの着氷に失敗し、右足首が不自然に曲がった。昨年11月に4回転ルッツで転倒して痛めた部位。平昌五輪での復活を経て、時間をかけて癒やしてきた。転び方が悪いと自分を責めながらも「切れる靱帯(じんたい)がもうないくらい。弱くて、もろい」と言った。 GP連勝で進んだファイナル、全日本選手権と12月の大会への出場は「分からない」と話したが、会見に松葉づえをついて現れたほどだから厳しそう。「引退はしませんよ」と付け加えた。クワッドアクセル(4回転半)への思いもある。まずは右足首を何とかしなくてはならない。【特集】年表で振り返る羽生結弦