古代生物想像図鑑 (23/38)
インド北部の約4800万年前の地層から発見された化石を基にしたクジラに最も近い偶蹄類の想像図[NEOUCOM提供]。クジラは陸上の水辺で生活していたカバなどの偶蹄類が水中に適応して進化したと考えられている。この化石の動物は「インドヒュス」と名付けられたが、アライグマ程度の大きさで、外見は現在アフリカに生息するミズマメジカに似ている。インドと米国の研究チームが2007年12月20日付の英科学誌ネイチャーに発表した。 泳ぐのに適した身体構造ではないが、浅瀬によく歩いて入り、水草や昆虫などを主に食べていたと考えられる。このため研究チームは、クジラ・イルカ類への進化は、水中への適応ではなく、魚類やプランクトンを餌にするようになった時点で起きたとの新説を提唱した。 化石はほぼ全身の骨格がそろい、頭骨や耳の構造がクジラに近かった。脚の骨が重く、身体が浮きにくかったほか、歯のエナメル質に含まれる酸素の同位体比率から、水中で過ごす時間が長かったとみられる。一方、炭素の同位体比率は陸上動物に近く、陸上の餌も食べていたと考えられた 【AFP=時事】