古代生物想像図鑑 (14/38)
中国南西部・貴州省の約2億2000万年前の地層から発見された化石を基にしたカメの想像図[英ネイチャー誌提供]。中国の古脊椎(せきつい)動物古人類研究所やカナダ自然博物館、米フィールド博物館などによる研究チームが2008年11月27日付の英科学誌ネイチャーに発表した論文によると、成体なのに甲羅の背中側が未完成で、肋骨(ろっこつ)や背骨が変化して甲羅に進化する途中であることが分かった。先に甲羅の腹側が完成したのは、海や河口近くで泳いでいる際、下方から襲われるのを防ぐためだった可能性が高いという。 カメ類で最も原始的とみられるこの化石は、頭から尾まで40センチ程度。種の2段階上の科レベルで新しく分類され、現在のカメにない歯があることから、「歯がある甲羅が半分のカメ」を意味する「オドントケリス・セミテスタケア」と命名された。甲羅の起源をめぐっては、皮膚が硬く変化したとの説もあったが、ドイツの約2億1000万年前の地層から見つかった従来最古のカメ化石「プロガノケリス」は、甲羅が背、腹とも完成しており、手掛かりにならなかった。新化石により、現在のカメ胚の成長過程と同様に、甲羅が肋骨などから形成されたことがはっきりした。また、プロガノケリスは主に陸上で生活したとみられるが、甲羅が陸上で身を守るために進化したなら、まず背中側ができたはず。新化石が他の海生動物の化石と一緒に見つかったことからも、カメは水中生活に適応して甲羅を発達させたとみられる 【時事通信社】