古代生物想像図鑑 (9/38)
約3億6000万年前の原始的な両生類「イクチオステガ」の想像図。一部の骨格を透視図で示している[英ネイチャー誌提供]。英王立獣医科大の研究チームが化石の骨格をマイクロX線CT(コンピューター断層撮影)装置で撮影し、その分析結果を2012年5月25日までに英科学誌ネイチャー電子版に発表した。 イクチオステガは魚類のひれが徐々に脚に変わり、水中から陸上に進出し始めた時期の両生類だが、どれぐらい歩くことができたかははっきりしていなかった。研究チームはCT画像を基に肩や肘、腰、膝の関節がどの程度動くかを分析。陸上では前後の脚で歩くことができず、前脚を使ってはうように移動していた可能性が高いことが分かった。 研究チームは現代のサンショウウオやワニ、アザラシなどの関節と比較した結果、干潟で胸びれを使ってはったり跳びはねたりするトビハゼやムツゴロウと似た動きをしていた可能性が高いと結論付けた。ポーランドの約3億9500万年前の当時海岸付近だった地層からは、原始的な両生類の足跡が化石として見つかったと、ワルシャワ大などの研究チームが2010年に発表している。腹や尾を引きずった跡はなかった。英王立獣医科大チームは、この足跡は未知の両生類によるものとの見方を示した 【時事通信社】