古代生物想像図鑑 (12/38)
約5億年前の海に生息した「ネクトカリス」。頭はエビ、体は魚に似ており、腕が2本ある[マリアンヌ・コリンズ氏提供]。カナダで発見された化石を分析した結果、イカやタコと同じ頭足類に分類されるが、最も原始的だという。 ネクトカリスは、「カンブリア紀の大爆発」と呼ばれる多種多様な動物の大量出現期に現れた動物の一種。世界遺産に登録されているカナダ西部ロッキー山脈の自然公園で約100年前、不完全な化石が1個だけ発見され、1976年になって学名が付けられた。その後、多数の化石が発見され、カナダ王立オンタリオ博物館の研究チームが分析したところ、体長2〜5センチ、イカのように平たい体で、小さな頭部に一対の目と腕があり、えらや幅広いひれを備えていることが分かった。頭部には、タコが墨を吐くのと同じ器官もあり、遊泳中に海水をジェット噴射して加速。腕で獲物を捕らえたか、海底で死んだ動物をあさっていたとみられる。原始的な頭足類はこれまで、アンモナイトやオウムガイのように貝殻を持ち、海底に生息したと考えられてきた。しかし、早くから遊泳していたことが分かり、貝殻を持つ種は動物間の生存競争の激化に対応し、後から出現した可能性が高いという 【時事通信社】