芥川賞に選ばれた宇佐見りんさん(右)と直木賞に選ばれた西條奈加さん=2021年1月20日、東京都千代田区【時事通信社】 第164回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が20日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に宇佐見りんさん(21)の「推し、燃ゆ」(文芸秋季号)、直木賞に西條奈加さん(56)の「心淋(うらさび)し川」(集英社)がそれぞれ選ばれた。 宇佐見さんは初候補での受賞。2004年の受賞者で19歳だった綿矢りささんと20歳だった金原ひとみさんに次ぐ若さ。作品は学校にも家庭にもなじめず、男性アイドルの言動を「解釈」することに心血を注ぐ女子高校生が主人公。ある日、お目当てのアイドルがファンを殴り、ネットで炎上してしまうことで日常が一変する。 芥川賞選考委員の島田雅彦さんは「アイドルを追い掛ける人の意識に肉薄した作品。ヒロインの自意識を描く言葉が鮮やかで、刹那(せつな)的に見えてかなり吟味されている。文学的偏差値が高い作品」と評価した。 西條さんも初候補での受賞。作品は、江戸の長屋でひっそりと生きる人々の心模様をつづった連作短編。ちりあくたをため込んだ小さな川のほとりを舞台に、抑制の効いた筆致で生きる悲しみと喜びを味わい深く表現した。 直木賞選考委員の北方謙三さんは「決選投票で圧倒的な票数を集めた。『欠点がないのが欠点』という意見も出たほど完成度が高い」と話した。
2022.01.28
人物・歴史
【芥川賞・直木賞】受賞作家 (16/105)
芥川賞に選ばれた宇佐見りんさん(右)と直木賞に選ばれた西條奈加さん=2021年1月20日、東京都千代田区【時事通信社】 第164回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が20日、東京・築地の新喜楽で開かれ、芥川賞に宇佐見りんさん(21)の「推し、燃ゆ」(文芸秋季号)、直木賞に西條奈加さん(56)の「心淋(うらさび)し川」(集英社)がそれぞれ選ばれた。 宇佐見さんは初候補での受賞。2004年の受賞者で19歳だった綿矢りささんと20歳だった金原ひとみさんに次ぐ若さ。作品は学校にも家庭にもなじめず、男性アイドルの言動を「解釈」することに心血を注ぐ女子高校生が主人公。ある日、お目当てのアイドルがファンを殴り、ネットで炎上してしまうことで日常が一変する。 芥川賞選考委員の島田雅彦さんは「アイドルを追い掛ける人の意識に肉薄した作品。ヒロインの自意識を描く言葉が鮮やかで、刹那(せつな)的に見えてかなり吟味されている。文学的偏差値が高い作品」と評価した。 西條さんも初候補での受賞。作品は、江戸の長屋でひっそりと生きる人々の心模様をつづった連作短編。ちりあくたをため込んだ小さな川のほとりを舞台に、抑制の効いた筆致で生きる悲しみと喜びを味わい深く表現した。 直木賞選考委員の北方謙三さんは「決選投票で圧倒的な票数を集めた。『欠点がないのが欠点』という意見も出たほど完成度が高い」と話した。