2019.05.13 その他

新元号は令和 (73/82)

報道陣の取材に応じる安倍晋三首相=2019年4月1日、首相官邸【時事通信社】 「平成」に代わる新元号が決まった1日、首相官邸周辺は朝から慌ただしい空気に包まれた。一連の手続きを終えた後、菅義偉官房長官は午前11時40分から記者会見し、したためられたばかりの墨書を掲げて「新しい元号は令和だ」と発表。続いて会見した安倍晋三首相は「歴史上初めて国書を典拠とする元号」と誇らしげに語った。 「日本には、いかに時代が移ろうとも色あせない価値がある」。正午すぎから会見した首相は、茶色の額に入った墨書を横に、日本の最古の歌集である万葉集から選んだ理由をこう説明した。 一連の手続きは午前9時半ごろ、山中伸弥京都大教授ら有識者9人でつくる「元号に関する懇談会」を皮切りに始まった。懇談会冒頭で菅長官のあいさつはなく、出席者の前には紙と筆記用具が置かれていた。部屋の外は入室し切れなかった報道陣でごった返した。 懇談会は約40分で終了。菅長官は「何案提示したかは言わないことになっている。一人一人それぞれ意見を言ってもらった」と記者団に述べた。この後、菅長官は約600メートル離れた衆院議長公邸に移り、衆参両院の正副議長からの意見聴取に臨んだ。車列を上空からヘリで追跡した放送局もあった。 菅長官が官邸に戻った午前10時40分ごろには、全閣僚会議と閣議に出席するため、閣僚が続々と官邸に集結した。平井卓也科学技術担当相は「ちょっとドキドキ」。渡辺博道復興相は「すごく緊張している」と笑顔で語った。 春の陽光が降り注ぐ中、静まりかえっていた官邸がにわかに活気づいてきたのは午前8時前。元号選定の事務を取り仕切る杉田和博官房副長官や古谷一之官房副長官補がまず官邸入りした。 午前8時半すぎに着いた菅長官は「普段通りだよ」と記者団に語った。「一連の行事は滞りなく行えそうか」と問われると、「大丈夫でしょ」と余裕の表情を見せた。懇談会に先立ち、菅長官は横畠裕介内閣法制局長官と自室で打ち合わせした。1979年に定められた「元号選定手続き」に基づき、懇談会に示す新元号原案数個を選定したとみられる。 懇談会に出席する有識者は午前9時前ごろから続々と集まり始めた。作家の林真理子氏は「厳粛な気持ちで。緊張して」と語り、榊原定征前経団連会長は「平和と社会の安寧、心の豊かさ。そういった元号が選ばれるといい」と話した。 首相は午前9時すぎに官邸に到着。待ち受けていた記者団に「希望に満ちあふれた新しい時代につながるような新元号を決定したい」と語った。