新元号は令和 (51/82)
新元号「令和」を発表する菅義偉官房長官=2019年4月1日、首相官邸【時事通信社】 政府は1日午前、「平成」に代わる新たな元号を「令和(れいわ)」と決定した。5月1日の皇太子さまの新天皇即位に合わせて元号が改まる。出典は日本最古の歌集である「万葉集」。元号の典拠が日本古典(国書)となるのは初めて。 菅義偉官房長官が記者会見で発表した。続いて安倍晋三首相も会見して談話を読み上げ、「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つという意味が込められている」と説明。「日本の国柄をしっかりと次の時代へと引き継ぎ、日本人がそれぞれの花を大きく咲かせることができる日本でありたいとの願いを込めた」と語った。 政府によると、万葉集の「梅花(うめのはな)の歌」の「初春令月、気淑風和=初春の令月にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ」から引用した。考案者は公表しない。首相は「国民に広く受け入れられ、生活に深く根ざすことを願う」と訴えた。 新元号は645年の「大化」以来248番目。これまで日本の元号の由来は確認できる限り全て中国古典(漢籍)だった。今回、原案は国書由来と漢籍由来のものがそれぞれ複数示された。 今回は明治以降の憲政史上初めてとなる退位に伴う改元。国民生活への影響を最小限に抑えるとして、改元1カ月前の発表となった。30年余り続いた平成の時代は、4月30日の天皇陛下の退位とともに幕を閉じる。 この日、政府は午前9時半から首相官邸で、ノーベル医学生理学賞受賞の山中伸弥京都大教授や直木賞作家の林真理子氏ら有識者による「元号に関する懇談会」を開き、新元号原案を提示して意見を聴取。この後、国会近くの衆院議長公邸で衆参両院の正副議長からも意見を聴いた。 これを踏まえ、官邸での全閣僚会議で協議し、臨時閣議で新元号を定める政令を決定。政府は直後に宮内庁を通じ、陛下と皇太子さまに伝えた。政令は陛下の署名を受けて公布され、5月1日に施行。同日午前0時に元号が切り替わる。政府は新元号を、承認している195カ国と国際機関に通知した。 元号選定の手順は1989年の平成改元時を基本的に踏襲した。政府は3月14日、国文学、漢文学、日本史学、東洋史学を専門とする学者の中から複数人に新元号の考案を正式に依頼。(1)国民の理想としてふさわしい良い意味を持つ(2)漢字2字(3)書きやすい(4)読みやすい(5)過去の元号や天皇の死後の「おくり名」(追号)として使用されていない(6)俗用されていない−という条件で原案を絞り込んだ。