2019.05.13 その他

新元号は令和 (31/82)

新元号をめぐり一躍、脚光を浴びた坂本八幡宮=2019年4月2日、福岡県太宰府市【時事通信社】 新元号「令和」の出典となった日本最古の和歌集「万葉集」にある梅花の歌の序文の舞台は、現在の福岡県太宰府市にあった歌人大伴旅人の邸宅だったとされる。ただ、市文化財課などによると、市内のどこに邸宅があったかは諸説ある。専門家は、ゆかりの地として訪問客が殺到する「坂本八幡宮」の他にも、複数の候補地があると指摘する。 市文化財課によると、旅人邸は、今も役所跡が残る大宰府政庁の北西部にある坂本八幡宮周辺に存在していたというのが有力とされる。ただ、発掘調査などにより、他にも複数の候補地があると言われるようになった。 その一つが政庁東側の月山東地区官衙(かんが)跡。九州歴史資料館の学芸員は「和歌で歌われた丘陵地帯に面している」と理由を挙げる。他に、高官が使用した陶器や装飾品が出土し、官人の居住区だったと考えられる政庁南側の大宰府条坊跡周辺も候補の一つだという。 新元号が発表されて以降、注目が集まる坂本八幡宮の御田良知宮司(59)は「古くから旅人邸があった場所と伝えられており、皆さんに太古のロマンを感じていただけているようだ」と喜ぶ。 一方、他の2候補の知名度は高くない。月山東地区官衙跡の近くに住む女性は「大勢の人が来ればむしろ迷惑」と注目が集まることに困惑気味。大宰府条坊跡の近くの男性(65)は「いまひとつぴんとこないが、もしそうならうれしい限りだ」と笑顔を見せた。 1300年前に歌われた令和の舞台はどこなのか−。謎が深まる中、旅行で同市を訪れた静岡市の女性(75)は2日、政庁跡を眺めながら「正確な場所は分からないんですよね。それもロマンがあっていい」と笑った。