旅洋II型ミサイル駆逐艦「済南」 旅洋(ルーヤン)II型ミサイル駆逐艦は2004年8月に1番艦が就役し、同型が15年までに6隻完成した。初代の中華イージスとして知られ、長距離索敵が可能なフェイズドアレーレーダーを中国海軍の艦艇として初めて装備した。写真(米海軍提供)は、5番艦の済南が米フロリダ州のメイポート海軍基地を親善訪問した際に撮影された。全長155メートル、全幅17メートル、満載排水量7112トンと、旅洋III型よりも若干小ぶりにできている。ガスタービン2基、ディーゼル2基を組み合わせたCODOG式で2軸推進なのは旅洋III型と同じだが、機関の合計出力は4万8600馬力と少し低く、最大速力も29ノット(時速53.7キロ)と推定されている。 艦橋の周囲に4分割されたアクティブ・フェイズドアレーレーダーを備えているのは共通だが、レーダーアンテナの形状は旅洋III型が平面なのに対し、旅洋II型は中央部分が膨らんだ円筒の一部のような形をしている。これはアンテナの冷却装置が空冷式になっているためで、旅洋III型ではより冷却効率のよい水冷式に改められた。 旅洋II型の建造が6隻で打ち切られたことから考えて、艦隊防空艦としては改良タイプである旅洋III型の方がトータルでの性能は高いようだ。ただ、旅洋II型も対空交戦距離100キロ程度の能力はあるとみられ、中国海軍が今後、空母を中核とした外洋艦隊を編成する場合、遠距離防空任務を担う貴重な戦力となることは間違いない(2015年11月03日) 【時事通信社】