中国海軍が2019年6月3日、微博に掲載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の打ち上げ画像【時事通信社】 5日付の中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報英語版は、中国軍が最近、新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪3」の発射実験を行った可能性があると報じた。同紙は、米トランプ政権との対立が深まる中、「米国の挑発に対抗する中国の抑止力をはっきり示すことは重要だ」という専門家の見解を伝えた。 巨浪3とみられるSLBMは、2日未明に渤海から発射されたもようだ。中国版ツイッター「微博」には、山東、山西、河北各省などの広い地域で「未確認飛行物体(UFO)を目撃した」という情報が、発光する飛翔(ひしょう)体の写真と共に次々と寄せられた。「UFO目撃」の時間帯は渤海で軍事演習が行われていた。UFO騒動がネット上で広がると、中国海軍は3日夜、微薄に「UFOを信じるのか」という文言とSLBMの発射画像を掲載。巨浪3とは確認できないが、SLBM発射は事実上認めた。 核弾頭を搭載可能な巨浪3の最大射程は1万2000キロ以上で、中国近海から米本土に届くという見方がある。最大で10発の弾頭を搭載可能と推定され迎撃も困難で、米国にとって大きな脅威となる。巨浪3の発射であれば、南シナ海や台湾海峡に軍艦を頻繁に派遣して圧力を強めるトランプ政権をけん制する狙いがあったとみられる。 環球時報は「巨浪3の開発と実戦配備のために必要な試射が行われた」という専門家の分析を伝えた。米ニュースサイト「ワシントン・フリー・ビーコン」によると、中国軍は昨年11月に巨浪3の試射に初めて成功した。