2021.12.07 スポーツ

【大相撲】照ノ富士 (13/101)

大相撲名古屋場所千秋楽で白鵬(右)と攻め合う照ノ富士。照ノ富士は白鵬に小手投げで敗れ14勝1敗。優勝次点の好成績などを評価され、73人目の横綱に昇進することが確実になった=2021年7月18日、愛知・ドルフィンズアリーナ 【時事通信社】 大関返り咲きの勢いそのままに、照ノ富士関が横綱の地位も引き寄せる。両膝のけがや内臓疾患に苦しみながらも、復活を遂げた29歳。その若き日々を知る恩師と元兄弟子が喜びを語った。 照ノ富士の母校、鳥取城北高の校長で相撲部総監督の石浦外喜義さんは「負けん気が強かった」と、モンゴルから留学したばかりだった頃の姿を思い出す。 技術こそ高くなかったが、試合で物おじしない姿は現在に通じるものがあった。「私たちの気が張っているときに、本人は淡々と相撲を取っていた。初めての全国大会。何食わぬ顔で『勝ちましたよ』と言ってきた」と懐かしみ、「これからもしっかり応援してあげたい」とエールを送る。 元幕下の駿馬として長く付け人を務めた中板秀二さんは、照ノ富士が最初に入門した間垣部屋時代からの兄弟子。まだ日本語が得意ではなく、最初は内気な印象だったという。ただ、相撲を取れば、「吸収スピード、覚える早さは自分が会った力士の中では断トツだった」と振り返る。 中板さんは、関取の座も失い、長くてつらい時間を味わった照ノ富士関を傍らで支えてきた。それだけに、復帰後の大関が事あるごとに口にする「一日一番」に込める思いが、他の力士とは違うと理解している。「最悪の経験をしているからこそ、『自分ができることを一日一日やっていこう』というところだと思う。照ノ富士関の場合は、相撲人生が懸かっている一日一番」。不屈の闘志で最高位へ上がる弟弟子を誇りに感じている。