【冬季五輪】「銀盤の記憶」女子フィギュアスケート (6/49)
2018年 平昌冬季五輪 アリーナ・ザギトワ 新女王は一瞬の間を置いて、感極まった。ザギトワは最終滑走のメドベージェワとフリー同点の大接戦になり、SPでつけていた1.31点差のまま逃げ切った。「まだ五輪で勝ったと認識できないでいる」。夢見心地のような表情だった。 同じコーチに指導を仰ぐメドベージェワの力を知っているからこそ「少しの間違いも許されない。手が震えていた」。後半最初に予定した連続3回転が単発になった。珍しいミス。これで揺らがないのが15歳の恐るべきメンタルだった。その後のルッツにループを付けて、帳消しにした。 ジャンプは連続3回転で最も高難度のルッツ―ループなど、SP、フリーの計10本を全て得点が1.1倍になる後半に跳んだ。技術点では他の選手をしのぐ。得点を稼ぐためのいびつな演技構成との批判もあるが「調和が取れている。観客も最後まで飽きないと思う」。確かな自信があった。 15歳281日での栄冠は1998年長野五輪のタラ・リピンスキー(米国)に次ぐ年少。「ジャンプの前後に細かい動きを入れ、音にきっちり合わせて動く。何を評価して点を出すかを分かっている」とジャッジをうならせる完成度だった。1年前はまだジュニア。その頃は無敵だった世界選手権2連覇のメドベージェワを、軽やかに超えた。(写真は時事通信社)(2018年02月23日)