2019.12.04 09:00World eye
グリーンランド氷床の表面湖、瞬く間に排水 ドローンでリアルタイム観察に成功
【ワシントンAFP=時事】デンマーク領グリーンランドの氷床上の急速なひび割れと表面湖の排水をドローン(無人機)を用いて観察した研究結果が2日、発表された。こうした現象は、気候変動の影響で発生頻度が上昇する可能性があるという。(写真はドローンで撮影した表面湖の画像。排水前〈左〉と排水後〈右〉。5時間で約500万リットルの水が消失した。トム・チャドリー氏提供)
一般的に約1キロの厚みがある氷床は夏の間、表面の一部が融解して多数の湖が形成されるのが通常だ。
表面湖の多くはほんの数時間以内に水が抜け、氷の底部に広大な割れ目ができる。その深さは最大で1キロに達する。氷床の表面を流れる融解水は、融解シーズンの残りの間中この割れ目に流れ落ち続け、世界最大級の滝を形成する。
この過程を直接観察するのはこれまで極めて困難だった。だが、英ケンブリッジ大学スコット極地研究所の氷河学者チームは2018年7月、グリーンランド北西部にあるストア氷河で、その観察に成功した。
氷河到着から数日後、表面湖の3分の2の約500万リットルの水が5時間のうちに、氷床表面から割れ目を通じて消失した。
研究チームがドローンで撮影したこの前後の空撮画像には、ダークブルーの楕円(だえん)形が縮小し、小さくて浅いライトブルーの円になる様子が捉えられている。
米科学アカデミー紀要に掲載された論文の共同筆頭執筆者のトム・チャドリー氏は、AFPの取材に「ドローンの使用によって、氷上の科学者らが接近するには安全でない領域で、このような上質の測定データを得ることが可能になる」と語った。
ドローンに搭載のGPS(全地球測位システム)機能を利用して、研究チームは撮影した多数の画像の位置情報を取得し、画像をつなぎ合わせることができた。次にこの画像データを用いて、氷床表面の詳細な立体再現モデルを作製した。
■氷河を上昇させる
ストア氷河は年間600メートルの速度で前進する。湖の急激な排水により、氷河の前進速度が1日に2メートルから5メートルへと一時的に増加したことを、研究チームは発見した。氷床下部に落ちた水が潤滑油のような役割を果たしたのだ。
さらに驚くべきことに、この氷床下部の水が氷河の高さを55センチ上昇させたと、研究チームは指摘した。
「厚さ1キロの氷が50センチ持ち上がったのだから、かなりの圧力が関与したと想像できる」と、チャドリー氏は話した。
チャドリー氏は「グリーンランドでは気候変動の進行が確認されている」と述べ、「これまでに特定されていない新たな場所で、排水が進んでいる湖の総数が人為的に増加している可能性がある」と警鐘を鳴らした。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2019/12/04-09:00)
一般的に約1キロの厚みがある氷床は夏の間、表面の一部が融解して多数の湖が形成されるのが通常だ。
表面湖の多くはほんの数時間以内に水が抜け、氷の底部に広大な割れ目ができる。その深さは最大で1キロに達する。氷床の表面を流れる融解水は、融解シーズンの残りの間中この割れ目に流れ落ち続け、世界最大級の滝を形成する。
この過程を直接観察するのはこれまで極めて困難だった。だが、英ケンブリッジ大学スコット極地研究所の氷河学者チームは2018年7月、グリーンランド北西部にあるストア氷河で、その観察に成功した。
氷河到着から数日後、表面湖の3分の2の約500万リットルの水が5時間のうちに、氷床表面から割れ目を通じて消失した。
研究チームがドローンで撮影したこの前後の空撮画像には、ダークブルーの楕円(だえん)形が縮小し、小さくて浅いライトブルーの円になる様子が捉えられている。
米科学アカデミー紀要に掲載された論文の共同筆頭執筆者のトム・チャドリー氏は、AFPの取材に「ドローンの使用によって、氷上の科学者らが接近するには安全でない領域で、このような上質の測定データを得ることが可能になる」と語った。
ドローンに搭載のGPS(全地球測位システム)機能を利用して、研究チームは撮影した多数の画像の位置情報を取得し、画像をつなぎ合わせることができた。次にこの画像データを用いて、氷床表面の詳細な立体再現モデルを作製した。
■氷河を上昇させる
ストア氷河は年間600メートルの速度で前進する。湖の急激な排水により、氷河の前進速度が1日に2メートルから5メートルへと一時的に増加したことを、研究チームは発見した。氷床下部に落ちた水が潤滑油のような役割を果たしたのだ。
さらに驚くべきことに、この氷床下部の水が氷河の高さを55センチ上昇させたと、研究チームは指摘した。
「厚さ1キロの氷が50センチ持ち上がったのだから、かなりの圧力が関与したと想像できる」と、チャドリー氏は話した。
チャドリー氏は「グリーンランドでは気候変動の進行が確認されている」と述べ、「これまでに特定されていない新たな場所で、排水が進んでいる湖の総数が人為的に増加している可能性がある」と警鐘を鳴らした。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2019/12/04-09:00)
2019.12.04 09:00World eye
Drones show Greenland ice sheet fracturing in real time
Scientists said Monday they had used a drone to observe the rapid fracturing and draining of a lake on the Greenland ice sheet, a phenomenon that may become more frequent as a result of climate change.
The ice sheet is typically about a kilometer thick, and during summer, it is normal for some of the surface to melt and form thousands of lakes.
Many of the lakes drain in just a few hours, creating vast openings at the base of the ice, up to a kilometer deep. Meltwater from surface streams continues to flow down them for the rest of the melt season, creating some of the world's largest waterfalls.
This process has been extremely difficult to observe firsthand, but a group of glaciologists from the Scott Polar Institute at the University of Cambridge were fortunate when they arrived at the Store Glacier in northwest Greenland in July 2018.
A few days after their arrival, over the course of five hours, two-thirds of the lakes or roughly 5 million liters of water disappeared from the surface through a fracture.
Aerial photography captured by the drone from before and after showed a dark blue oval shrink into a smaller, shallower and lighter blue circle.
Tom Chudley, co-first author of the study that appeared in the Proceedings of the National Academy of Sciences told AFP that the thing that drones can do is allow us to take these kind of high quality measurements in regions that aren't safe to access for scientists on the ground.
By making use of on-board GPS, the team was able to geo-locate and stitch together thousands of photos that were in turn used to create detailed 3D reconstructions of the ice sheet's surface.
- Raising the glacier -
A glacier is a river of ice that moves slowly under its own weight toward the ocean. When it reaches the sea, it breaks off into icebergs, which represent about 40 percent of Greenland's contribution to rising sea levels (the rest is from the actual melting of the glaciers).
The Store Glacier advances at a rate of 600 meters per year. The team, which also included scientists from Aberystwyth and Lancaster Universities, found that the sudden drainage of the lake temporarily increased its speed from two to five meters per day.
The water that fell under the ice served as a lubricant.
Even more surprising was that this bed of water lifted the glacier's height by 55 centimeters, the team said.
That's a kilometer of ice lifted up half a meter, so you can imagine the kind of pressures that were involved, said Chudley, a doctoral student at Cambridge.
The team's paper describes in fuller detail the formation of these vast fractures, which in turn create water beds that accelerate the glacier's movement.
As we see climate change progressing in Greenland, we're seeing more lakes, and we're seeing them get larger, and we're seeing them higher up into the colder section of the ice sheet, and we can see that some of these lakes are beginning to drain, said Chudley.
Potentially we're increasing the amount of lakes that are draining in new places that we haven't previously identified, he warned.
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