国内開幕戦、全日本距離別の女子1500メートルの表彰式でメダルを手にする高木美帆(中央、日体大助手)。左は2位の小平奈緒(相沢病院)、右は3位の佐藤綾乃(高崎健康福祉大)=長野・エムウエーブ【時事通信社】 高木美は朝起きた時、前日にはなかった体の疲れを感じたという。五輪シーズンの大事な初戦。心に芽生えかけた不安を拭えたのは、これまでにない量をこなしたオフの練習で得た筋力アップに手応えがあったから。 「取り組んできたことは簡単には崩れない。やってきたことを信じよう」。守りに入らずに前半を速いタイムで滑るという、1500メートルのテーマだけに集中した。 700メートルの通過タイムは、3位に入った昨季の世界距離別選手権を上回った。「一歩で氷を押す力が上がった。これまでは同走(の前半が速い選手)にスピードをもらっていたけど、1人でもラップを出せた」。自身の持つ国内最高記録を0秒61更新する1分55秒44をマークし、右腕を何度も突き上げて喜びをかみしめた。 2大会連続の五輪出場を逃した2014年ソチ五輪のシーズンは、オフの練習からライバルに差をつけられたと思った。それから4年。経験を糧に取り組んだ猛練習が心身の支えとなり、最高の形で滑り出した。(2017年10月20日)