2019.10.10 09:00World eye
系外惑星追う「変わり者」の学生、ノーベル物理学賞科学者に
【パリAFP=時事】今から25年前、天文学を専攻する学生だったディディエ・ケロー氏は、手作りの機器を使って夜空を走査観測していた。得たデータの信ぴょう性を数か月を費やして検証したケロー氏は、避け難い結論に達した。地球がある太陽系の外側に存在する惑星(系外惑星)が、初めて見つかったのだ。(写真は2019年ノーベル物理学賞の受賞が決まり、記者会見後の撮影に応じるディディエ・ケロー氏。英ロンドンで)
スイス人科学者のケロー氏と同僚のミシェル・マイヨール氏の先駆的な研究に対して8日、2019年のノーベル物理学賞の授与が発表された。
ケロー氏は博士課程の研究の大半を、系外惑星検出技術の改良に費やした。運命の一夜は1995年10月にやって来た。それまで系外惑星は、SFの世界にしか存在しないものだった。
ケロー氏とマイヨール氏は、天の川銀河(銀河系)全体での系外惑星探査で、すでに数々の難題を克服していた。
両氏は仏アルプスの麓にあるオートプロバンス天文台で独自の観測機器を苦心して組み立てた。これにより、惑星が周回していると推測される恒星から発せられる光を観測して、光の振動数の微小な変化を検出できるようになった。
だが、また新たな問題が浮上した。両氏が発見した「ペガスス座51番星b」として知られる系外惑星が大きすぎるのだ。
ケロー氏は8日、AFPの取材に応じ「われわれは惑星を発見して、誰もと同じように驚いた。発見された惑星が実に奇妙で、惑星として予想されるものとは全く異なっているからだ」と語った。
「それが惑星ではないことを証明しようとして、ミシェルと議論を重ねたことを覚えている。だが結局はいつも巡り巡って元に戻り、惑星以外に説明がつかないと話していた」
系外惑星ペガスス座51番星bは木星とほぼ同じくらいのサイズだが、中心星との間の距離が太陽地球間の距離の20分の1足らずしかない。こうした大きさが、研究チームを当惑させたのだ。
米マサチューセッツ工科大学の惑星科学・天体物理学者のサラ・シーガー氏は、当時の「大論争」をこう振り返る。ケロー氏らが系外惑星を発見した当時、シーガー氏は米ハーバード大学の大学院生だった。
シーガー氏は、AFPの取材に「自身の理論的枠組みが覆されるのを望む人は誰もいない。木星型惑星は中心星から遠く離れて形成されるという、学校で教わったこと全てを信じたかっただけだ」と語った。
「その惑星は見ることができず、写真もない。確認できるのは恒星と、恒星に対する作用だけだ。なので人々は、その作用(の原因)を何か他のものに帰着させたいと考えたのだ」
■発見数は4000個以上
ケロー氏によると、自身のチームの発見が認められるのに時間がかかった理由は、この研究以前には系外惑星が天文学界内で「変わり者向けのもの」と見なされていたからだという。
「会議場の片隅に集まって話している人々はいたが、系外惑星について正式に話題にしようとする人は誰もいなかった。あまりにも奇妙だったからだ」と、ケロー氏は話した。
両氏の先駆的研究のおかげで今日、4000個以上の系外惑星の存在が明らかになっており、軌道を周回する惑星を持つ恒星は膨大な数に上ると考えられている。
「生命の起源に関する研究が進められているが、それはまさしく系外惑星で行われていることなのだ」と、ケロー氏は指摘した。
「だからこそ、この分野が成長している。現在この分野の研究者は数千人に上っているに違いない。とても素晴らしいことだ」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2019/10/10-09:00)
スイス人科学者のケロー氏と同僚のミシェル・マイヨール氏の先駆的な研究に対して8日、2019年のノーベル物理学賞の授与が発表された。
ケロー氏は博士課程の研究の大半を、系外惑星検出技術の改良に費やした。運命の一夜は1995年10月にやって来た。それまで系外惑星は、SFの世界にしか存在しないものだった。
ケロー氏とマイヨール氏は、天の川銀河(銀河系)全体での系外惑星探査で、すでに数々の難題を克服していた。
両氏は仏アルプスの麓にあるオートプロバンス天文台で独自の観測機器を苦心して組み立てた。これにより、惑星が周回していると推測される恒星から発せられる光を観測して、光の振動数の微小な変化を検出できるようになった。
だが、また新たな問題が浮上した。両氏が発見した「ペガスス座51番星b」として知られる系外惑星が大きすぎるのだ。
ケロー氏は8日、AFPの取材に応じ「われわれは惑星を発見して、誰もと同じように驚いた。発見された惑星が実に奇妙で、惑星として予想されるものとは全く異なっているからだ」と語った。
「それが惑星ではないことを証明しようとして、ミシェルと議論を重ねたことを覚えている。だが結局はいつも巡り巡って元に戻り、惑星以外に説明がつかないと話していた」
系外惑星ペガスス座51番星bは木星とほぼ同じくらいのサイズだが、中心星との間の距離が太陽地球間の距離の20分の1足らずしかない。こうした大きさが、研究チームを当惑させたのだ。
米マサチューセッツ工科大学の惑星科学・天体物理学者のサラ・シーガー氏は、当時の「大論争」をこう振り返る。ケロー氏らが系外惑星を発見した当時、シーガー氏は米ハーバード大学の大学院生だった。
シーガー氏は、AFPの取材に「自身の理論的枠組みが覆されるのを望む人は誰もいない。木星型惑星は中心星から遠く離れて形成されるという、学校で教わったこと全てを信じたかっただけだ」と語った。
「その惑星は見ることができず、写真もない。確認できるのは恒星と、恒星に対する作用だけだ。なので人々は、その作用(の原因)を何か他のものに帰着させたいと考えたのだ」
■発見数は4000個以上
ケロー氏によると、自身のチームの発見が認められるのに時間がかかった理由は、この研究以前には系外惑星が天文学界内で「変わり者向けのもの」と見なされていたからだという。
「会議場の片隅に集まって話している人々はいたが、系外惑星について正式に話題にしようとする人は誰もいなかった。あまりにも奇妙だったからだ」と、ケロー氏は話した。
両氏の先駆的研究のおかげで今日、4000個以上の系外惑星の存在が明らかになっており、軌道を周回する惑星を持つ恒星は膨大な数に上ると考えられている。
「生命の起源に関する研究が進められているが、それはまさしく系外惑星で行われていることなのだ」と、ケロー氏は指摘した。
「だからこそ、この分野が成長している。現在この分野の研究者は数千人に上っているに違いない。とても素晴らしいことだ」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2019/10/10-09:00)
2019.10.10 09:00World eye
From 'weirdo' PhD stargazer to Nobel Physics laureate
As a student astronomer scanning the skies with homemade instruments a quarter of a century ago, Didier Queloz spent months doubting the data that led him to an inescapable conclusion: he'd just discovered the first planet outside Earth's solar system.
The Swiss scientist had spent much of his PhD research refining techniques to detect so-called exoplanets, which until one fateful night in October 1995 had previously only existed in the realm of science fiction.
Queloz and his colleague Michel Mayor, who on Tuesday were awarded the Nobel Prize for Physics for their pioneering work, had already overcome a number of obstacles in their galaxy-wide search.
They'd painstakingly constructed their own equipment at the Haute-Provence Observatory at the foot of the French Alps, allowing them to detect tiny changes in the frequency of light emitted by stars they suspected were being orbited.
Now they had another problem. The planet they'd discovered, known as 51 Pegasi b, was too big.
We were as surprised as everybody to find a planet because the planet that we found was absolutely bizarre and it's not at all the way you would have expected a planet to be, Queloz told AFP Tuesday.
I remember many discussions I'd had with Michel and trying to demonstrate that it was not a planet but in the end we always circled back and said that that's the only explanation.
The exoplanet was roughly the size of Jupiter, yet was more than 20 times closer to its star than Earth is to the Sun.
Such dimensions baffled the team.
Sara Seager, planetary scientist and astrophysicist at MIT, who was a grad student at Harvard when Mayor and Queloz made their discovery, recalled a huge controversy at the time.
No one likes their paradigm to be upset, and we just really wanted to believe everything we were taught in school, that Jupiters form far from the star, she told AFP.
People were very resistant, and rightly so in science -? you can't see the planet, you don't have a photo of one, you're just seeing the star, the effect on the star, so people wanted to put that effect (down) to something else.
- 4,000 and counting -
Queloz said the team's discovery took time to be acknowledged because prior to the research exoplanets were stuff for weirdos within the astronomy community.
There were people assembling in the corner of a meeting talking but nobody would officially speak about it, it was too bizarre, he said.
Today, thanks to their pioneering work, there are more than 4000 known exoplanets and billions of stars thought to be orbited by them.
We are studying the origins of life and that's exactly what exoplanets are doing, Queloz said.
That's why the field is growing. Now there must be 1000s of people working on this, which is fantastic.
And how does it feel to be the newest Nobel Physics Laureate, a quarter of a century after his initial eureka moment?
I can still breathe, which is a good sign.
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