新型コロナ、情報も急拡散 慎重な対応重要―デロイトトーマツ矢守氏
デジタル分野と社会の関わりに詳しいデロイトトーマツグループの矢守亜夕美マネジャーは、新型コロナウイルスをめぐり、デマを含む情報の急激な拡散が起きているとして、個人や企業の慎重な対応が重要になると指摘した。13日までにオンラインによるインタビューで語った。主なやりとりは次の通り。
―新型コロナに関し不確実な情報が出回った。
2002年以降のSARS(重症急性呼吸器症候群)流行時と比べ、世界の情報伝達の度合いは68倍に増えたと分析している。インターネット交流サイト(SNS)が普及し、有益な情報も不確実な情報も急増した。感染拡大のように情報が急拡散する「インフォデミック」が懸念される。
トイレットペーパー不足は「中国産の品薄」という虚偽のツイートではなく、それを否定する「正しい投稿」がかえって不安をあおった面がある。SNSは利点と副作用が表裏一体で、真実であっても拡散が良い結果につながらないことがある。
―情報拡散への対応は。
新型コロナをめぐり、国内外で真偽を確認する「ファクトチェック」の取り組みが生まれている。医療専門家がネットで発信し、不安に対処する動きもある。ただ、政府がニュースを「正しい」「正しくない」と判断するのは検閲につながりかねず、各国ともに対応を模索している。
―個人ができることは。
危機時には、分かりやすい表現が評価されがちだが、一人ひとりがすぐに判断せず、あいまいさに耐えることが求められる。「接した情報が正しいのか」「誤情報をばらまかないか」という慎重な姿勢でSNSに向き合うことが大切だ。
―企業は。
個々の社員にSNSの運用を任せているケースが多く、危機時にはリスクになり得る。正しいと思って拡散した情報が問題になることもあり、運用指針の見直しや一時停止が課題だ。
―日本の組織が変わる機会になるか。
日本の企業、官庁は対面、紙での決裁を重視し、ITが浸透しにくい面があった。会議のオンライン化や業務のIT化が進めば、そういったサービスを扱う国内のスタートアップ企業にとっては追い風になる可能性もある。データの標準化が重要になり、政府のルール策定の在り方が注視される。(2020/04/14-07:16)
INTERVIEW: Expert Warns of "Infodemic" of False Coronavirus Info
Media literacy is becoming even more important as the public is exposed to an excessive amount of information, true and false, amid the coronavirus pandemic, an expert says.
"I'm concerned about 'infodemic,' a situation in which information is spreading rapidly just like expansion of infections," Ayumi Yamori, manager at Deloitte Tohmatsu Group, said in a recent online interview with Jiji Press.
Amid the global spread of COVID-19, the World Health Organization has warned that an infodemic makes it difficult to find reliable information.
Deloitte Tohmatsu Group's analysis shows that the speed of global information distribution is 68 times faster than during the severe acute respiratory syndrome, or SARS, outbreak in 2002-2003.
Both useful and incorrect information have surged in volume on the back of the popularity of social media, Yamori said.
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