2021.08.30 11:07World eye
英国王室御用達のピアノ修復家、生涯のコレクションを競売へ
【ビデンデンAFP=時事】英イングランド南東部ケント州にある、一見すると周囲の建物と何ら変わりがないごく一般的な家屋。唯一の違いは、英国王室御用達の証しである「ロイヤルワラント」が掲げられている点だ。(写真はフランスで1925年に製作されたプレイエルのグランドピアノと横に立つデービッド・ウィンストンさん。英ビデンデンにある自身の工房で)
アシュフォード近郊ビデンデンにあるこの建物の中には希少なピアノや少し変わったピアノ26台が置かれている。米カリフォルニア出身のデービッド・ウィンストンさんが生涯かけて集めたコレクションだ。
間もなく、このコレクションのすべてが競売にかけられる。中には6万ポンド(約900万円)の値が付くと予想されているものもある。
「私はもう71歳になるので、そろそろいいかな」とウィンストンさんは言う。今はピアノを専門としているが、もともとはバイオリン製作家として修業を積んだ。
これまでに手掛けたピアノには、エリザベス女王のものあった。ただ、女王のピアノについては「いくつか手掛けたことがある」ということ以外、あまり語りたがらない。それには理由がある。以前、女王に下着を提供していたランジェリーブランドの女性が仕事の内容を外に漏らしてしまい、王室御用達の指定を取り消されたことがあるのだ。
その他には、フレデリック・ショパンが所有していた仏「プレイエル」のピアノもあった。ウィンストンさんにとってショパンは「偉大な英雄」なのだという。
また、ハンガリー国立博物館で、ルートウィヒ・ベートーベンのピアノの作業を依頼されたこともある。
ウィンストンさんは「部屋に入ると、ベートーベンのピアノが目の前に置いてあり、鳥肌が立ちました」と、ブロードウッド製のピアノを前にした時の印象を振り返る。
■2本多いペダル
ウィンストンさんは、18世紀から20世紀に製作されたピアノのコレクションを見せてくれた。
そのうちの一つに、19世紀オーストリア・ウィーンで作られたピアノのレプリカがある。これはウィンストンさん自らが手掛けたもので、最大の特徴は現代のピアノでは3本が主流となっているペダルが5本あることだ。
2本多いペダルを使うことで、ドラムとベルのような効果音、もしくはファゴットのきしむような音を出すことができる。当時人気のあった勇ましい音楽にぴったりだ。
ロンドンの王立音楽院の学生シャオウェン・シャンさんはこのピアノがお気に入りだ。「現代のピアノと比べると(中略)これはもっと優しくて、とても繊細な音をしています」と言って弾いてみせた。
コレクションには年代物のピアノだけでなく、20世紀のライフスタイルに合わせたものもある。
ウィンストンさんは、バーブラ・ストライサンドの1970年代のバラード曲「追憶」の楽譜を取り出し、シャンさんに銀色に光るアルミフレームのグランドピアノで弾いてもらった。
このピアノは、今はなきオランダのリッペンが60年代に製作したもので、とても安定していて非常に音が良いのだという。
自身のピアノコレクションに興味を示す人については、「希少楽器の収集家」や「部屋に飾るための非常に珍しく、希少なものを探している人」ではないだろうかとウィンストンさんは話す。
オークションハウス「ドルーウェッツ」によると、競売は9月23日に開催予定。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/08/30-11:07)
アシュフォード近郊ビデンデンにあるこの建物の中には希少なピアノや少し変わったピアノ26台が置かれている。米カリフォルニア出身のデービッド・ウィンストンさんが生涯かけて集めたコレクションだ。
間もなく、このコレクションのすべてが競売にかけられる。中には6万ポンド(約900万円)の値が付くと予想されているものもある。
「私はもう71歳になるので、そろそろいいかな」とウィンストンさんは言う。今はピアノを専門としているが、もともとはバイオリン製作家として修業を積んだ。
これまでに手掛けたピアノには、エリザベス女王のものあった。ただ、女王のピアノについては「いくつか手掛けたことがある」ということ以外、あまり語りたがらない。それには理由がある。以前、女王に下着を提供していたランジェリーブランドの女性が仕事の内容を外に漏らしてしまい、王室御用達の指定を取り消されたことがあるのだ。
その他には、フレデリック・ショパンが所有していた仏「プレイエル」のピアノもあった。ウィンストンさんにとってショパンは「偉大な英雄」なのだという。
また、ハンガリー国立博物館で、ルートウィヒ・ベートーベンのピアノの作業を依頼されたこともある。
ウィンストンさんは「部屋に入ると、ベートーベンのピアノが目の前に置いてあり、鳥肌が立ちました」と、ブロードウッド製のピアノを前にした時の印象を振り返る。
■2本多いペダル
ウィンストンさんは、18世紀から20世紀に製作されたピアノのコレクションを見せてくれた。
そのうちの一つに、19世紀オーストリア・ウィーンで作られたピアノのレプリカがある。これはウィンストンさん自らが手掛けたもので、最大の特徴は現代のピアノでは3本が主流となっているペダルが5本あることだ。
2本多いペダルを使うことで、ドラムとベルのような効果音、もしくはファゴットのきしむような音を出すことができる。当時人気のあった勇ましい音楽にぴったりだ。
ロンドンの王立音楽院の学生シャオウェン・シャンさんはこのピアノがお気に入りだ。「現代のピアノと比べると(中略)これはもっと優しくて、とても繊細な音をしています」と言って弾いてみせた。
コレクションには年代物のピアノだけでなく、20世紀のライフスタイルに合わせたものもある。
ウィンストンさんは、バーブラ・ストライサンドの1970年代のバラード曲「追憶」の楽譜を取り出し、シャンさんに銀色に光るアルミフレームのグランドピアノで弾いてもらった。
このピアノは、今はなきオランダのリッペンが60年代に製作したもので、とても安定していて非常に音が良いのだという。
自身のピアノコレクションに興味を示す人については、「希少楽器の収集家」や「部屋に飾るための非常に珍しく、希少なものを探している人」ではないだろうかとウィンストンさんは話す。
オークションハウス「ドルーウェッツ」によると、競売は9月23日に開催予定。【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/08/30-11:07)
2021.08.30 11:07World eye
Final chord-- royal piano restorer sells lifetime's collection
There's little to distinguish the farm building in Kent, southeast England, from others nearby, except for one thing: the royal warrant over the door.
By appointment to Her Majesty the Queen, conservators and restorers of pianos, it reads.
Inside the building in Biddenden, near Ashford, is a treasure trove of 26 quirky and rare pianos, amassed over a lifetime by Californian David Winston.
Winston's entire collection is now being sold off at auction, with estimates that some individual instruments could go for up to £60,000 ($83,000, 71,000 euros) each.
I'm nearly 71 now, it's kind of time, Winston, who initially trained as a violin maker before specialising in pianos, told AFP.
Some of his work has included on pianos belonging to Queen Elizabeth II herself but he is cagey about the work he did on the Royal Collection's keyboards.
And with good reason: other than saying he worked on quite a few of their instruments, he is mindful of the story of a woman who once spilled the beans on royal bra fittings.
She lost her warrant not long after.
What he does say is that other major commissions have included restoring the French Pleyel piano belonging to his great hero Frederic Chopin.
He also worked on Ludwig van Beethoven's Broadwood piano at the Hungarian National Museum.
When I first walked into that room, and that piano was sitting there with Beethoven's name on it, the hair on the back of my neck just stood up, he recalled.
- Pedal power -
Winston shows off his collection of pianos dating from the 18th to 20th century.
Chinese pianist Xiaowen Shang, a student at the Royal Academy of Music in London, plays a Schubert sonata to demonstrate a piano Winston built himself as an exact replica of a 19th-century Viennese instrument.
The most striking feature is that it has five pedals, while most modern pianos have three.
The extra ones produces a drum and bell sound effect or a bassoon-like rasp -- perfect for the martial music fashionable at the time.
Compared to the modern piano... this is more gentle and has a very sensitive sound, says Shang, calling it her favourite.
She says she also enjoys playing the French Pleyel Duoclave: a piano with keyboards at either end, allowing pianists to sit face-to-face with the sound rising up between them.
They're really rare: they only made about 50 of them, says Winston.
This instrument belonged to Madeleine Lioux, a renowned French concert pianist, whose husband was the Resistance hero, novelist and later culture minister Andre Malraux.
The collection does not just focus on antique period instruments but includes instruments designed for 20th-century lifestyles.
- Up in the air -
Winston gets out sheet music to The Way We Were, a 1970s ballad recorded by Barbra Streisand, and asks Shang to play it on a futuristic grand piano with a sparkly silver aluminium frame.
This is from the 60s. It's really stable and it sounds quite good, he says of the piano made by now-defunct Dutch company Rippen.
They had quite a few of them on ships and there was even one on a blimp (airship) at one time.
Equally eye-catching is a walnut butterfly grand from Wurlitzer -- a company better known for organs and jukeboxes.
The lid opens from the centre in two wings, creating a stereo effect.
A gorgeous piano decorated with red and gold chinoiserie from 1925 plays piano rolls, a once-popular technology that allows a piano to play music automatically.
Potential buyers could be amassing a collection of rare instruments or just looking for something really unusual and rare that will just completely make a room, Winston says.
Some might attract rock 'n' roll clients, suggests Will Richards, deputy chairman of auction house Dreweatts, which is organising the online sale from September 1.
After the sale, Winston plans to spend more time at his flat in Venice, where he is a member of a rowing club, as well as focusing on photography.
Restoring pianos is becoming tough physically, he says.
It's getting harder on my body: bending over all the time and lifting stuff and crawling underneath pianos. Sometimes I just feel like a car mechanic.
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