「戦争は人変える」=洞窟潜み生還の高江洲さん―米軍慶良間上陸80年

沖縄・慶良間諸島の座間味村で生まれ育った高江洲敏子さん(93)は80年前の米軍上陸時、1カ月にわたって洞窟に身を潜めた後で投降し、何とか生き延びた。守ってくれるはずの日本兵に命を奪われる住民がいる一方、「鬼」と教えられた米兵は生後3カ月の妹を抱いてほほ笑み、食料を分けてくれた。「戦争は人を変えてしまう」と振り返った。
上陸開始3日前の1945年3月23日から米軍の空襲や艦砲射撃が始まった。13歳だった高江洲さんは、防空壕(ごう)へ避難したが、瞬く間に村は炎に包まれた。自宅が焼け落ちた高江洲さん一家は洞窟へ身を寄せた。
米軍が上陸した26日。避難してきた人々がひしめき合う洞窟内の雰囲気は重々しく、生まれたばかりだった妹が泣きだすと、「見つかるから殺せ」という声も上がるほどだった。「とにかく身を潜めて、生きるので精いっぱい」だった。
米兵に見つからないよう、火を使わずに生の大根やニンジンをかじってしのいだが、4月下旬に食料が底を尽き、投降を決意。今度は情報漏れを恐れる日本兵の目を免れるため、山を越えて米軍のキャンプに向かった。
「米兵に見つかると殺されるから先に死ね」と教えられていた高江洲さん。青い目をした10人ほどの米兵を見て「本当に鬼のようだと思った」。意を決して前に出たところ、兵士の1人が母の腕から生後間もない妹を取り上げた。「殺されてしまう」と思ったが、米兵は代わる代わる妹を抱いて笑顔を浮かべ、母に返した。
その後、捕虜としてキャンプ場で過ごした。食事として缶詰が提供されるなど、「洞窟よりはるかに良い生活」で、兵士の態度も大きく違っていた。日本兵は米軍上陸直前まで民家を宿舎としており、一緒に暮らしている間は優しかったが、戦争が激化すると人相や態度が激変。食べ物は奪われ、スパイと見なされた住民は容赦なく命を奪われた。
「戦争は生活だけでなく、人も変えてしまう」と話す高江洲さん。「戦争はつらいもの。孫たちにはあんなつらい思いをしてほしくない。平和になれる選択肢を見つけてほしい」と願っている。
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