2024.08.06 スポーツ

【陸上】サニブラウン・ハキーム〔パリ五輪〕 (42/85)

陸上の世界選手権、男子200メートル決勝で力走するサニブラウン・ハキーム(右、東京陸協)。後半の伸びを欠き、20秒63で7位。同種目で日本勢14年ぶりのメダル獲得はならなかった=ロンドン【時事通信社】 大魚を逃したとはいえ、将来性豊かな18歳が世界トップと勝負していけることを示した。世界最年少で男子200メートル決勝の舞台に立ったサニブラウン。多くの日本勢にとって現実感が乏しかったスプリント種目のメダル獲得の可能性が、少し広がったように感じられる走りだった。 「世界のファイナルだったので、とことん楽しんでやろうと思って」と、度胸の良さは初めて踏む決勝でも変わらなかった。スタートから思い切り飛び出し、周囲より頭一つリード。「自分より速く100メートルを走れる人はいないと思ったので、いけるだけいった」。自信を持ってピッチを上げ、「もしや」の展開をつくった。 カーブを回り切るあたりまではまだ先頭争いに加わっていたが、そこから急失速。ずっと違和感があった右太もも裏が、負荷に耐えられず悲鳴を上げてしまった。動きが鈍くなり、苦しげな表情でゴール。「ラスト100メートルは脚が痛くて動かなかった。自分のリズムを保っていったら、もっと前で勝負できた」と7位の結果を残念がった。 前回大会は予選を突破して達成感に浸った16歳が、充実の2年を経た今は決勝進出の目標をクリアしても「まだまだ満足できない」と歯ぎしりしている。素直に「(決勝は)歓声も全然違うし、登場の仕方も違う。この年で経験できてよかったかな」と喜びつつ、「そこで勝負できないと面白くない」と強い口調で。あふれる向上心が、成長可能な伸びしろをさらに大きくするだろう。(ロンドン時事)(2017年08月10日)