価格転嫁に広がる不安=中小・零細ほど困難に-消費増税
10月からの消費税増税を前に、中小企業や個人事業者の間では、増税分を価格にきちんと上乗せできるか不安が広がっている。「値上がり」を嫌う消費者への配慮に加えて、元請け企業が下請けに増税分の負担を強いるケースが続出する恐れもあり、政府は監視を強化する。
消費税は商品・サービス流通の各段階で仕入れ値と卸値の差額に課税していき、最終的に販売価格に転嫁する仕組み。日本商工会議所が8月に発表した調査によると、消費税率10%への引き上げの一部もしくは全部を「価格に転嫁できない」と答えた中小企業は合計約32%に上った。法人向け取引では計約24%、消費者向けでも計約35%が上乗せできないと回答。売上高が小さい中小・零細ほど転嫁が難しいという傾向が示された。
増税で消費者心理の悪化が見込まれる中、個人商店や飲食店などでは「値上げによる客離れ」への懸念が根強い。法人相手のサービスや部品を手掛ける企業からは「取引先に増税分の2%相当の値上げを言い出しにくい」「業績の悪化を理由に価格据え置きを求められそうだ」などと懸念する声が国の相談センターに寄せられている。
前回、消費税率が5%から8%に引き上げられた2014年には、立場の強い元請け企業が「契約の見直し」をちらつかせ、価格据え置きを迫る行為が横行。中小企業庁は13年10月から今年8月末までに、6564社に立ち入り調査を行い、5206社に対して増税分の負担を強いる「買いたたき」や「取引価格の減額」などで指導した。同庁幹部は「今回の増税でも悪質な行為を働く可能性があり、監視を強化する」と語った。
公正取引委員会は10月以降、取引価格に増税分が適正に転嫁されているかを確認するため、630万に上る中小企業、個人事業者などに書面調査を行う。公取委の山田昭典事務総長は「把握した転嫁拒否行為には迅速かつ厳正に対処する」と表明している。(2019/09/24-07:16)
Small Firms Worried about Reflecting Tax Hike in Prices
With a week to go before the planned consumption tax increase in Japan, small and midsize businesses and self-employed individuals are concerned whether they will be able to properly reflect the tax hike in prices.
Those businesses, while having to take into consideration consumer sentiment that is averse to price increases, also face the risk that prime contractors may force the tax hike burden onto subcontractors. The Japanese government will thus keep a close watch to prevent such unfair practices, officials said.
On Oct. 1, Japan's consumption tax rate will be raised from the current 8 pct to 10 pct.
A consumption tax is imposed on the difference between the purchase price and wholesale price at each stage of goods and services distribution, and is ultimately reflected in sales prices.
According to a survey by the Japan Chamber of Commerce and Industry released in August, some 32 pct of small and midsize companies said they would not be able to reflect all or part of the tax rate hike in their prices.
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