2019.09.07 15:06Nation

豚コレラ、見えぬ終息=7府県13万頭処分-9日で発生から1年

豚コレラ感染が確認された養豚場で、殺処分の作業を行う大阪府職員ら=2月8日、同府東大阪市(大阪府提供)

豚コレラ感染が確認された養豚場で、殺処分の作業を行う大阪府職員ら=2月8日、同府東大阪市(大阪府提供)

 家畜伝染病「」が国内で26年ぶりに発生してから9日で1年。岐阜県を皮切りに豚への感染は1府6県に広がり、殺処分された豚は計13万頭に上る。対策は決め手を欠き、養豚農家が待望するワクチン接種の是非をめぐっても議論は分かれたまま。が終息する気配はいまだ見えない。
 ◇不安との闘い
 「ワクチンを打ってくれないと怖くて再開できない」。陽性反応を踏まえ、全頭を殺処分した岐阜県の養豚農家は悲痛な声を上げる。同県は、この1年間で県内全頭の過半に相当する6万頭超を処分。5日には中津川市で新たな感染が判明しており、経営再開にこぎ着けられたとしても、再び発症するのではとの不安が消えない。
 昨年9月以降、感染した子豚の入荷により単発的に発生した長野、滋賀、大阪の3府県を除けば、岐阜、愛知両県に集中していた豚への感染は、今年7月に三重、福井両県に飛び火し、「フェーズ(局面)が変わった」(鈴木英敬三重県知事)と受け止められた。近隣県の養豚農家は「発生地で抑えてほしかった」(富山県)、「うちもいつまで持つか」(長野県)と危機感を募らせる。
 発生地周辺の農家がこぞって求める豚へのワクチン接種について、農林水産省は「次善の策」(吉川貴盛農水相)と、今も否定的だ。接種すると感染豚との区別が付かなくなり、被害が拡大する恐れがあるためだ。国際ルール上も「非清浄国」とみなされて豚肉輸出に影響が出る恐れがあり、国に二の足を踏ませる。
 ◇格下げまで1年
 苦肉の策として、国などで検討されているのが、ワクチン接種を行う地域と、それ以外の地域を線引きし、接種地域の肉などを一切域外に出さない方法。域外は引き続き「清浄国」として扱われ、輸出が可能だ。しかし、接種が行われそうな地域では流通業者が「肉が売れなくなる」と猛反発。流通管理の責任を負う各自治体も「どうやって管理するのか。国が主体的に対応すべきだ」(長野県幹部)と困惑顔だ。
 そもそも農水省は、養豚場の衛生管理強化に感染を防ぐ余地があるとみている。同省調査チームの捕捉結果などを踏まえ、幹部は「手洗いや着替えなど、基本的なことがおろそかだ」と指摘。「(アジアで猛威を振るう)アフリカの侵入を許せば壊滅する」と手厳しい。
 一方、ウイルスの「運搬役」とされる野生イノシシの感染拡大防止も急務だ。豚コレラを発症したイノシシはこれまで1000頭以上を数え、「衛生面に気を配っても、イノシシはどこから来るか分からない」(福井県の農家)との懸念は根強い。農水省と各自治体は捕獲と並行し、イノシシ向けワクチン散布の規模拡大に乗り出す方針だ。
 日本は現在、豚コレラ発生を受け、国際獣疫事務局(OIE、本部パリ)による清浄国の認定効力が停止された状態に置かれている。発生から2年以内に鎮圧できれば効力停止は解除されるが、できなければワクチン接種の有無にかかわらず非清浄国に格下げされる。残された猶予期間は短い。

◇豚コレラ発生府県と殺処分頭数
            (9月6日時点)
    初 確 認 日    殺処分頭数
岐阜 2018年9月9日  6万1798
愛知   19年2月6日  6万2560
長野    同         2482
大阪    同          737
滋賀    同          699
三重     7月24日    4189
福井     7月29日     997
合計           13万3462
(2019/09/07-15:06)

2019.09.07 15:06Nation

One Year On, Japan Still Struggling to Contain Swine Fever


Japan remains in an uphill battle to contain swine fever one year after the first case of the infectious disease in the country in 26 years was confirmed on Sept. 9, 2018, in the central prefecture of Gifu.
   Infections have been found at pig farms in Gifu and six other prefectures--Aichi, Nagano, Fukui, Mie, Osaka and Shiga--and a total of 130,000 pigs have been culled. Infected wild boars have also been found, in Toyama and Ishikawa prefectures in central Japan, as well as Gifu, Aichi, Nagano, Fukui and Mie.
   Measures taken so far to prevent the spread of the disease have not been successful, while discussions are still ongoing on whether vaccination of pigs against the disease, a step sought by many pig farmers, should be implemented.
   "I won't be able to restart my business unless vaccination is carried out," cried a farmer in Gifu, all of whose pigs were slaughtered after some of them tested positive for swine fever, also known as pig cholera.
   The Gifu government has slaughtered over 60,000 pigs, more than half of farm pigs in the prefecture, in the past year. Earlier this month, however, a new case of infection was confirmed in the city of Nakatsugawa in Gifu.

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