車にGPS「見張り」該当せず 付近での観察限定―ストーカー事件で初判断・最高裁
車に全地球測位システム(GPS)を取り付けて動静を把握する行為が、ストーカー規制法で禁止された「見張り」に該当するかが争われた2件の刑事事件の上告審判決が30日、最高裁第1小法廷であった。山口厚裁判長は「見張りには当たらない」とし、検察側の上告を棄却した。
小法廷は違法な「見張り」について、住居など被害者が通常所在する場所の「付近」で被害者の動静を観察する行為とする初判断を示した。いずれの二審も「見張り」を目視などの直接的な観察に限定。GPSでの遠隔監視を処罰できないと判断しており、最高裁判決が注目されていた。
判決が言い渡されたのは、当時の妻の車にGPSを取り付けた男(48)と、元交際相手の車に取り付けた男(53)。
両事件ともGPSは被害者が日常的に利用していた駐車場で取り付けられたが、小法廷は「位置情報の探索取得は駐車場付近で行われていない」と指摘。被害者の「付近」での見張りには該当しないと結論付けた。
1件目の事件の一審福岡地裁判決は「ストーカー手段は社会変化に伴い変容する」とし、見張りについて、「電子機器で相手が通常使用する物を観察する行為も含まれる」と判断した。一方、二審福岡高裁は同法を厳格に解釈。「住居、勤務先、学校その他通常所在する場所付近で見張ること」との規定から、被害者の近くで感覚器官を用いて観察する行為に限定、一審判決を破棄した。
2件目の事件でも一審佐賀地裁は有罪としたが、二審福岡高裁が「法の趣旨を逸脱する」と破棄。いずれも検察側が上告していた。
最高検の畝本直美公判部長の話 主張が認められなかったことは遺憾だが、真摯(しんし)に受け止めたい。(2020/07/30-19:14)
Japan Top Court Finds GPS Tracking of Cars Not Spying
Japan's Supreme Court ruled Thursday that GPS monitoring of cars does not constitute spying banned by the stalker regulation law, turning down appeals by public prosecutors.
The top court's First Petty Bench issued the ruling in the trials of two criminal cases over the use of GPS devices on cars to track the activities of targets.
High court rulings on the cases, which found such monitoring activities not spying, will become final.
The Supreme Court said that illegal spying is an act of monitoring targets' activities near their homes and other places where they regularly stay.
The high court rulings had limited illegal spying to the direct monitoring of targets, such as by visual observation, and said remote monitoring by GPS devices cannot be punished by the law.
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