2021.03.13 07:16Nation

中国台頭、懸念共有 民主主義で連携―日米豪印

 【ワシントン、ニューデリー、シドニー時事】日本、米国、オーストラリア、インド4カ国の連携枠組み「クアッド」初の首脳会談実現の背景には、台頭する中国への懸念の共有がある。バイデン米政権が対中国で同盟国との連携を鮮明にする中、日豪だけでなく、「非同盟」を貫いてきたインドもクアッド強化に踏み切った。
 ◇地政学的試練
 バイデン政権は、中国を「21世紀最大の地政学的試練」に位置付け、対抗するために同盟国やパートナー国との連携、民主主義の価値観を重視する。特にクアッドをインド太平洋政策の「土台」(サリバン大統領補佐官)にしたい考えだ。バイデン大統領は、クアッドを首脳レベルにまで格上げし、トランプ前政権で失われた米国のリーダーシップ回復を明示する狙いもある。
 ただ、気候変動対策などで中国との協調も目指すバイデン政権は、冷戦型の米中対決は望んでいない。「クアッドはアジア版の北大西洋条約機構(NATO)ではない」(米専門家)のが実情だ。
 サキ大統領報道官も11日、「(首脳会談は)幅広い国際問題に関する対話であり、中国に集中するわけではない」と強調した。当面は対中を前面に出さず、新型コロナウイルスや気候変動対策などで連携を深めていく方針とみられる。
 ◇ヒマラヤ衝突で転換
 インドは冷戦下で、米国にも旧ソ連にもくみしない「非同盟」の外交方針を取ってきた歴史的経緯から、多国間連携に慎重だった。中国は、2020年にインドの最大の貿易相手国となるなど関係も深い。モディ政権には対立を深めたくない思いが強かった。
 一方で、3000キロ以上に達する未画定の国境線をめぐって争う中国の動きに神経をとがらせつつあった。巨大経済圏構想「一帯一路」の枠組みを利用し、周辺国に浸透を図る中国へのインドの警戒は強まり、日米両国との海上合同演習「マラバール」などで中国をけん制してきた。
 印オブザーバー研究財団のハーシュ・パント研究主任は、インドがクアッド重視に傾いた転換点は、昨年6月にヒマラヤの国境地帯で起きた中印軍事衝突だったと指摘する。45年ぶりに死者が出たことで「国境をめぐる一方的な現状変更が現実となり、地域バランス(変化)への懸念が強まった」という。
 ◇太平洋諸国への憂慮
 豪州は安全保障分野で友好関係にある太平洋諸国に、中国が影響力を強めていることに頭を痛めている。中国系企業がパプアニューギニアに新都市建設を提案していると報じられるなど、中国は官民で攻勢を掛け、太平洋諸国への開発援助を積極化。こうした事態にモリソン豪首相は、クアッドの連携強化で対処したい方針だ。
 ただ、新型コロナ発生源の独立調査を求めた豪州に反発した中国が、豪産ワインに事実上の「制裁」として高率関税を導入し、豪経済に打撃を与えている。
 経済界を中心に中国との関係改善を求める声が根強い。モリソン政権は、中国との決定的な対立も避けたい考えだ。(2021/03/13-07:16)

2021.03.13 07:16Nation

China's Rise Spurs Quad Nations to Deepen Ties


The first four-way meeting among the leaders of Japan, the United States, Australia and India comes amid shared concerns among the "Quad" members over China's geopolitical emergence.
   U.S. President Joe Biden has made clear his commitment to working closely with allies to counter Beijing's rise. Even India, long a bastion of nonalignment, has agreed to step up cooperation.

   Geopolitical Test

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