「トランプ関税」石破首相に打撃=指導力不足に批判の声
トランプ米大統領による相互関税発表を受け、石破政権に衝撃が走った。24%の追加関税は政府の事前の想定より厳しく、日本経済への影響は不可避との見方が広がる。6月の東京都議選や夏の参院選を控え、内閣支持率の低迷に苦しむ石破茂首相にとって新たな打撃となりそうだ。
「極めて残念で不本意」「極めて遺憾」。首相は3日午後、首相官邸で記者団にこう繰り返した。この後、関係閣僚を官邸に集め、米国に措置の見直しを強く求めることなどを指示した。
政府はここまで手をこまぬいていたわけではない。首相は2月上旬に米ワシントンを訪れた際、日本の対米投資を1兆ドル(約147兆円)規模に拡大するとトランプ氏に伝達。共同声明で「日米関係の新たな黄金時代」をうたいあげ、岩屋毅外相ら閣僚を通じて日本の適用除外を求めてきた。
しかし、トランプ氏が相互関税発表の演説で口にしたのは「同盟国にここまでするのか」と外務省幹部が驚きを隠せないほどの関税率だった。通商交渉に長く関わってきた自民党幹部は「話にならない」と絶句。別の幹部は「想像以上の衝撃。壊滅的な打撃を受ける」と危機感をあらわにした。
党内外の矛先は首相に向かいつつある。2月の初会談後、首相がトランプ氏に電話するなどした形跡はなく、自民の高市早苗前経済安全保障担当相は保守派の会合で「本気の姿勢を政府が見せるべき瞬間だった。陣頭指揮を執っているのが誰かよく見えなかった」と指導力不足を批判した。
首相は3日、記者団に「私自身がトランプ氏に直接話すことが適当なら、全くちゅうちょしない」と語ったが、トランプ氏は演説で「シンゾーは素晴らしい男だった」などと安倍晋三元首相にばかり言及した。「首相が交渉しても説得の見込みはほぼない」(政府関係者)との見方もある。
政府内には問題が安保分野に波及し、防衛費増額などとディール(取引)を迫られることを警戒する向きもある。立憲民主党の野田佳彦代表は党会合で、2月の日米首脳会談後の共同声明を「たぶんトランプ氏は読んでいない」とした上で、「(声明に明記した安保協力は)大丈夫か。一枚紙にどんな意味があるのか」と語った。
日本企業の業績悪化が顕在化すれば、石破政権への世論の風当たりが強まり、都議選や参院選にも影響しかねない。公明党の斉藤鉄夫代表は党会合で「政府に的確なかじ取りを求めたい」と訴えた。首相は4日、通商問題では異例とも言える与野党党首会談に臨み、各党に協力を呼び掛ける。
[時事通信社]
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