前への意識、はじける笑顔=一山本、31歳の初金星―大相撲春場所
懸賞金の束を誇らしげに受け取った。31歳の一山本はもろ手突きから豊昇龍に左差し。「走るしかないと思った」。相手の強引な小手投げもこらえ、左からすくって裏返しに。「すごくうれしい。へへへ」。笑顔がはじけた。
戦後、30歳以上で横綱初挑戦の力士が金星を挙げるのは、1965年春場所で栃ノ海を破った若杉山以来2人目。初めての結びを待つ間は「時間の使い方が分からず、持て余した」と笑いつつ、「相撲にはしっかり集中できた」と胸を張った。
自己最高位の西前頭4枚目で臨む場所。白星先行に「前に出られている」と好調を実感する。
引いて墓穴を掘った初日の夜。部屋付きの松ケ根親方(元幕内玉力道)から「あれでは、全部引いて負け越すぞ」とハッパをかけられて発奮。負けた相撲も思い切りがいい。
中大から地元・北海道の福島町役場での勤務を経て角界入りした異色の経歴を持つ。上位戦が続く中、「やることは変わらない。当たって、流れで相撲を取るだけ」と気を引き締める。愛嬌(あいきょう)の良さが際立つ一方で、確かな地力を実感させた。
[時事通信社]
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