「年収の壁」見直し、今年度から=国民民主、自民・公明に要求
自民党の小野寺五典政調会長は8日、国民民主党の浜口誠政調会長と国会内で会談し、衆院選での与党過半数割れを踏まえた政策協議に着手した。国民民主は総合経済対策の月内取りまとめに向け、所得税の負担が生じる「年収103万円の壁」見直しなどを要求。税制が絡む場合は税制調査会長も交えつつ、来週から協議を本格化させることで合意した。
政府・与党は総合経済対策の財源の裏付けとなる2024年度補正予算案の年内成立を目指しており、国民民主の主張を採り入れて賛成を取り付け、成立に道筋を付けたい考え。11日には石破茂首相(自民総裁)が国民民主の玉木雄一郎代表と会談し、政権運営に協力を求める予定だ。
国民民主が「103万円の壁」見直しに向けて求めたのは(1)所得税の基礎控除などの103万円から178万円への引き上げ(2)学生アルバイトらの年収が103万円を超えると親に税負担が生じる特定扶養控除の見直し―の2点。ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除を含めたガソリン減税も要求した。
会談後、国民民主幹部は、本格実施は2025年度予算からだとしつつ、「補正予算でも前倒しで実施してほしい」と強調。小野寺氏は記者団に「改めて議論したい」と述べるにとどめた。公明党の岡本三成政調会長も浜口氏と会談。「共感できることが多かった」と記者団に語った。
国民民主は会談で、能登半島の復旧・復興、避難所となる全国の体育館へのエアコン設置などの災害対策や、電気・ガス代の引き下げも要望した。自民は災害対策については「しっかり検討していく」と応じ、電気・ガス代については「持ち帰って検討したい」とした。
◇国民民主の要望書
総合経済対策に関する国民民主党の要望書の内容は次の通り。
【災害対策】
(1)能登半島地震・豪雨災害の復旧復興=道路の早期復旧▽災害公営住宅の用地費・造成費の支援▽能登半島国定公園内の被災施設の復旧支援
(2)防災・減災対応=避難所となる全国の体育館へのエアコン設置、ランニングコストの支援
【103万円の壁対策】
(1)所得税の基礎控除などを103万円から178万円に引き上げ
(2)特定扶養控除の年収要件(扶養親族の給与収入103万円以下)の引き上げ
【エネルギー対策】
(1)減税によるガソリン代引き下げ、航空機燃料支援
(2)再生可能エネルギー賦課金の一時徴収停止による電気代引き下げ、ガス料金補助
[時事通信社]
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