「多重下請け」解明へ実態調査=トラックの運賃適正化―国交省
国土交通省は、トラック運送業務の委託を繰り返す「多重下請け構造」の解明に向け、実態調査に乗り出した。関連事業者などに聞き取りを行い、11月下旬にも結果を取りまとめる。運転手不足で物流の停滞が懸念される「2024年問題」に関連し、実際に運送する事業者が適正な運賃を受け取れる環境につなげたい考えだ。
運送業界は事業者の大半が中小零細で、元請け事業者から下請け、孫請けと委託を繰り返すほど、最終的に荷物を運ぶ事業者の運賃が減る。委託に頼るのは、自社の運転手不足や荷主からの突発的な運送依頼に対応するのが理由だ。
今回の調査は、自らは車両を持たずに、運送の委託や取り次ぎを手掛ける事業者が対象。運送に関する責任を負って委託を手掛ける登録事業者約2万8000社のほか、荷主とは運送契約を結ばず責任を負わない配送マッチングサイト運営会社数社などにも聞き取りを行う。
具体的には、サービスに見合った手数料を設定しているかどうかや、運賃確保に対する意識を調べる。こうした事業者が介在する構造が最終的な運賃決定に与える影響を精査した上で、25年中に必要な対策を講じる構えだ。
今年4月からトラック運転手の残業規制が始まり、政府は運転手不足解消のため、処遇改善に取り組んでいる。業界団体は2次までの下請け回数制限や、荷物情報のやりとりのみで手数料を得る事業者への規制といった対策を求めており、国会でも見直しに向けた機運が高まっている。
[時事通信社]
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