土砂災害、警戒区域外の被害検証=豪雨激甚化で要件見直しも―国交省
国土交通省は、豪雨などの自然災害が全国で激甚化・頻発化していることを受け、土石流や土砂崩れの恐れがある「土砂災害警戒区域」の指定外で起きた被害の実態調査に着手する方針を固めた。今年発生した人命に関わる土砂災害を詳細に検証し、現行の指定要件の見直しや項目追加の必要性を検討。気候変動の影響も踏まえ、被害の軽減と住民の安全確保に努める。
調査では、年末までの1年間に警戒区域外で死傷者が出たり住宅が全半壊したりしたケースを対象に、未指定の理由などを検証。都道府県と連携し、大きな被害をもたらす地形や気象条件などを分析する。
国交省によると、1月の能登半島地震で発生した土砂災害455件(6月時点)のうち、80件が警戒区域外で発生。能登では9月に起きた大雨でも区域外で被害が出た。今夏には松山市や愛知県蒲郡市でも豪雨により区域外で土砂崩れが起きており、こうした事案を調査対象に含める。
警戒区域は、土砂災害防止法に基づき都道府県が指定する。「急傾斜地の崩壊」「土石流」「地滑り」の三つの現象に分類され、都道府県はそれぞれの要件を満たす崖や谷を危険箇所として抽出した上で、基礎調査を経て具体的な区域を指定する。これを受け、市町村が土砂災害ハザードマップで住民に周知している。
ただ、国交省によると、2023年に発生した人命に関わる土砂災害は1351件。うち約15%は区域外で発生していた。
国交省は今後、調査を毎年実施し、検証データを蓄積する方針。局地的な大雨で想定を超える土砂が民家を押し流すなど、気候変動の影響により、現行法が想定する3項目以外の現象も発生しており、追加すべき項目があるかどうかも探る。
[時事通信社]
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