石破首相、対中外交を就任直後に始動=関係改善へ懸案山積
【ビエンチャン時事】石破茂首相は10日(日本時間同)、中国ナンバー2の李強首相と初の対面会談に臨んだ。1日の就任から間を置かず、首脳間の対話を実現。日中関係の改善に意欲を示すが、懸案はなお山積している。
石破首相は衆院解散直後の10日未明、政府専用機で羽田空港を出発。同日早朝に東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議の開催地・ラオスに到着した。事実上の衆院選がスタートする中、強行スケジュールで初の外国訪問に踏み切った背景には、中国首相が例年出席する国際会議の機会を捉え、早期の接触を図る狙いもあった。
8月以降、中国軍機による九州沖の領空侵犯が初確認されるなど、日本周辺では中国軍の活動が活発化している。また、9月には広東省深セン市で日本人男児が刺殺され、日本国内の反中感情が高まっている。
10日午後、石破首相はラオス・ビエンチャンのホテルで李首相と向き合ったが、表情は硬く、握手をする場面でも笑顔はなかった。
厳しさが漂う日中関係を巡り、外務省幹部は「中国とは指導者同士で話さないと物事が動かない」と指摘。首脳レベルの意思疎通を通じ、対中外交の安定化を図りたい考えだ。
石破首相はこれまで、中国を念頭に防衛力の強化を主張。就任前の8月には台湾を訪問して頼清徳総統と会談した。中国側には、長らく自民党内の非主流派で政府の要職から離れていた石破首相の外交姿勢を、直接確認する思惑も透ける。
今回のASEAN関連首脳会議で、石破首相は「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」創設の持論を封印する方針。中国を過度に刺激することを避けるためだ。日本外務省によると、日中首脳会談でも話題にならなかった。
もっとも、石破首相は就任早々に「アジアにおける安全保障の在り方」の検討を、自民党内に指示した。今後の進捗(しんちょく)次第では、日中間の新たな火種となる可能性もある。
[時事通信社]
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