戦火逃れ、癒やした心=ボスニアの元選手招待―新体操イオン杯
9月下旬に東京体育館で開催された新体操のイオン・カップ世界クラブ選手権は、ロシアによる侵攻が続くウクライナを含む15カ国のクラブチームが出場。個人総合3位と健闘したタイシア・オノフリチュク(ウクライナ)は「日本では落ちついて過ごせた」と笑みを浮かべた。
今年で30周年を迎えた大会は、ジュニア世代の選手も参加し、スポーツを通じた平和や連帯の意義を示してきた。その象徴が、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の真っただ中に行われた1994年の第1回大会。敵対するボスニアとセルビアの両選手が出場し、交流した。
ボスニアの元選手らは今年の大会に招待され、競技を見守った。10歳で来日した30年前、式典でセルビア選手と握手したのがアンドレア・バオティッチさん。「まだ幼かったし、握手に抵抗は感じなかった」と懐かしそうに振り返る。
当時のボスニアは「誰もが思い出したくないほどつらい状況だった」という。毎日のように爆撃音が響き、市民は次々に殺された。電気やガスは止まり、食べ物や水は常に不足した。
地獄のような日々を抜け出して訪れた日本は、全てが輝いて見えた。「トイレには温水洗浄機能まで付いていた。夢のような国だった」。チームメートだったレイラ・セビッチさんは「心の傷を癒やせた」と今でも感謝している。
世界各地の争いは、今もスポーツ界に暗い影を落としている。バオティッチさんは「最も苦しむのは、いつでも何の罪もない人々やアスリート。世界中に平和が訪れることを願っている」と祈るように語った。
[時事通信社]
最新動画
最新ニュース
-
新型中距離ミサイル初使用=ウクライナと米英に対抗措置―ロシア大統領
-
大谷、3度目の満票なるか=DH専任では史上初―米大リーグ
-
ICCの逮捕状発付に反発=外交への影響必至―イスラエル
-
機内で急病人に応急処置=医師の欧州委員長、G20の帰路
-
駅崩落で前建設相拘束=15人死亡、「一帯一路」で改修―セルビア
写真特集
-
【野球】慶応大の4番打者・清原正吾
-
【競馬】女性騎手・藤田菜七子
-
日本人メダリスト〔パリパラリンピック〕
-
【近代五種】佐藤大宗〔パリ五輪〕
-
【アーティスティックスイミング】日本代表〔パリ五輪〕
-
【ゴルフ】山下美夢有〔パリ五輪〕
-
閉会式〔パリ五輪〕
-
レスリング〔パリ五輪〕